更新:2025.08.21スマートSDSメディア編集部
2024年4月1日に労働安全衛生法が改正されました。今回の改正は化学物質の自律的な管理を目指したさまざまな内容があり、化学物質を扱う事業者にとっては大きな負担となるでしょう。
本記事では2024年4月1日に施行された労働安全衛生法の改正内容を網羅的に解説します。法適合の確認にぜひ最後までご覧ください。
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労働安全衛生法は1972年に制定された、労働者の健康と安全を守ることを目的とした法律です。この法律は、職場での労働災害や健康被害を予防し、働く人々の安全や健康を守るために、事業者や労働者に対してさまざまな義務やルールを定めています。
労働安全衛生法は時代の変化や新たなリスクの登場に対応して定期的に改正されています。直近では2022年の5月31日に労働安全衛生法の改正が公布され、その内容が2023年4月1日、2024年4月1日と段階的に施行されていきました。また、今後2025年と2026年にも改正が予定されています。
本記事では、2024年4月1日に施行された改正内容について解説します。なお、2025年の改正内容については別記事「【2025年4月1日】労働安全衛生法の改正まとめ:義務対象物質の追加や労働者以外の保護措置について解説」で詳しく解説していますのでご覧ください。
労働安全衛生法が制定されて以降、日本の化学物質管理は50年以上の間「個別規制型」で行われてきました。
個別規制型とは個々の物質に対して危険性・有害性の確認や、それに対する取り扱い方法、保護具の着用などを各個法律で規定していくことです。
産業界では年々多くの化学物質が開発・利用されており、現在使用されている化学物質は約7万種類にのぼります。個別規制型の化学物質管理では、これらすべての化学物質を規制することは難しかったのです。
実際2024年4月1日以前、労働安全衛生法でリスクアセスメントの実施が義務付けられていた物質は674物質しかなく、それ以外の物質に関しては努力義務が定められるのみでした。
結果として、化学物質による労働災害の約8割が規制対象外の物質によるものとなっていたのです。
また、中小企業における化学物質管理の課題も深刻でした。
平成29年のデータによれば、化学物質のリスクアセスメント実施率は50%強にとどまっています。その主な理由として、「必要な人材がいない」「実施方法がわからない」といったノウハウ不足が挙げられています。このような状況で、職場内での化学物質による健康被害や環境への影響が懸念されるケースが増加していました。
こうした状況を踏まえて、2022年には「自律的な化学物質管理」を掲げた労働安全衛生法の改正内容が公布されました。
自律的な化学物質管理とは、事業者には主体的に職場で使用する化学物質の危険性や有害性を評価し、その結果に基づいて適切なばく露防止措置をとることが求められます。したがって、事業者には法令の遵守に限らず労働者の安全という結果が求められる形になります。
今回の改正は、自律的な化学物質管理という指針のもと施行される内容となります。
2024年の労働安全衛生法改正内容は表にまとめると以下の通りとなります。