2025年4月1日にSDS交付義務対象物質が約700増加しました。事業者はこれらの義務に対して適切に対応しなければなりませんが、もしこれに違反してしまった場合罰則はあるのでしょうか?
本記事では、労働安全衛生法に基づくSDS交付義務の罰則について解説します。
また、SDSの作成に限らない、SDSライフサイクル全体に生じてくる課題とその解決法についてこちらの資料にまとめています。今後の法改正を考慮した内容となっていますので併せてご利用ください。
SDSとは事業者間で化学物質を譲渡または提供する際に、提供元から提供先へと交付されるもので、主に化学品の取り扱い方法や危険性について伝達するためのものです。
労働安全衛生法においては、SDS交付義務対象物質として2025年4月現在約1600物質が定められており、これら単一の化学物質、またはこれらを基準値以上含む混合物に関しては提供時に必ずSDSを交付しなければなりません。
また、SDS交付義務対象物質は今後大幅な増加が予定されており、2026年4月1日には約700の物質が新たに追加されます。合計2300ほどの物質が交付義務の対象となるとされており、大幅な負担増が予想されます。
なお、現在交付義務が課されている物質及び、今後交付義務が課される物質の具体的な名称については「表示・通知対象物質の一覧をダウンロード」でエクセルデータがダウンロードできます。
令和4年度の調査によると、SDS交付義務を果たしている事業所の割合は90.4%と考えられており、現状でも1割ほどの事業者が通知義務を果たしていないと言われています。
もしSDS交付義務に違反してしまった場合に罰則はあるのでしょうか?
結論から言うと、SDSに関する罰則規定は現状(2025年4月現在)定められていません。
最新の労働安全衛生法では、SDS交付は義務として定められているもののその罰則は明記されていない形になります。
ただし、これは罰則がないからといってSDSを交付しなくて良いというわけでは決してありません。
SDS交付義務対象物質に対して適切にSDSを交付していないことが判明した場合、行政の指導の対象となってしまう恐れがある他、もし事業場で労働災害が発生してしまった場合にはその責任が問われてしまう可能性もあります。罰則はありませんが、必ずSDSを交付するようにしましょう。
SDSに記載すべき内容や、作成の流れについては「SDS(安全データシート)と は? 交付義務や作成方法、項目について簡単にわかりやすく解説!」の記事でわかりやすく解説していますので、ご確認ください。
SDS交付義務の対象となる物質には、他にもラベル表示の義務や、リスクアセスメント実施の義務が発生します。
SDS交付義務には罰則はありませんが、これらの義務には罰則はあるのでしょうか?
こちらも結論から申しますと、リスクアセスメント実施義務には罰則がなく、ラベル表示の義務に対してのみ罰則があります。
ラベル表示義務の罰則は労働安全衛生法第119条の第3項に記載されており、ラベル表示義務対象物質に対してラベル表示を行わない、または虚偽の表示を行った場合には「6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金に処する」とあります。
SDS交付義務に対しては、近年、労働政策審議会の安全衛生分科会において罰則化の動きが出ています。
安全衛生分科会とは労働政策審議会のもとに設置されている7つの分科会のうちの一つです。労働政策審議会は労働安全衛生法の改正等に関して厚生労働大臣等に建議することができるため、当議会の内容は今後の法改正に大きく関わってくると思われます。
実際、2024年9月27日に行われた第167回安全衛生分科会で引用された資料「令和6年度化学物質管理に係る専門家検討会中間取りまとめ資料」では、SDS交付義務に対する罰則規定に関して、「SDSの交付等による危険有害性情報の通知の義務(法第57条の2第1項)に罰則を設けるべき」とあり、「罰則は規定による通知をせず、又は虚偽の通知を行った場合に適用」とあります。
SDSの交付に関しては現状罰則は定められていませんが、怠った場合法令違反であることに変わりはない上、将来的には罰則が設けられる運びとなるでしょう。
また、内容が誤ったSDSを交付することも法令違反となりますが、不備のないSDSを作成するためには化学、法律両面での高度な知識が必要となります。
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