2026年も化学物質に関する労働安全衛生法の改正が行われます。今回の改正は化学物質管理に関するものが多く、化学物質を扱う事業者は早めに確認し、対応することが望ましいでしょう。
本記事では、2026年に施行される労働安全衛生法の改正内容も一足早くお伝えいたします。早めの方適合のためにぜひ最後までご覧ください。
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労働安全衛生法は1972年に制定された、労働者の健康と安全を守ることを目的とした法律です。安衛法とよばれ、職場での労働災害や健康被害を予防し、労働者の安全や健康を守るために、事業者や労働者に対してさまざまな義務やルールを定めています。
労働安全衛生法は労働環境の変化に伴い、何度も改正されてきました。最近では2024年4月や2025年の4月にも大きな改正が行われました。
それぞれの改正に関しては以下の記事で別途まとめていますので参考にしてください
2024年4月の改正内容「【2024年】労働安全衛生法の改正まとめ:化学物質管理体系の変更について一覧で解説!」
2025年4月の改正内容「【2025年4月1日】労働安全衛生法の改正まとめ:義務対象物質の追加や労働者以外の保護措置について解説」
2026年は1月と4月、7月および10月に化学物質関連の労働安全衛生法の改正があります。それぞれの改正内容は以下のとおりです。
1月 | 石綿障害予防規則の改正 |
4月 | 表示・通知対象物質の追加 |
7月 | 新規化学物質関連の電子申請義務化 |
10月 | 有機溶剤中毒予防規則等の改正 |
どれも化学物質に関するものであり、化学物質を扱う事業者は内容を正しく確認し、必要に応じて対応を行うべきでしょう。
2026年4月1日には、表示・通知対象物質と呼ばれる、労働安全衛 生法において一定の義務が定められる対象となる物質の範囲が拡大します。
表示対象物質とは労働安全衛生法においてラベルによる名称等の表示が義務付けられている化学物質のことです。また、通知対象物質とは同じく労働安全衛生法によって当該物質の譲渡・提供時にSDSの交付が義務付けられている物質のことです。
表示対象物質および通知対象物質は、対象となる物質自体は同じものですが、それぞれ対象となるための混合物中の当該物質の濃度(以下、裾切り値)が異なります。
また、これらに該当する物質は同時にリスクアセスメントの対象でもあります。
さらに、リスクアセスメント対象物を扱っている事業場には化学物質管理者の選任も義務付けられます。
したがって、現在SDS交付義務の対象外である事業場も、今後義務対象に追加される物質を扱っている場合SDS交付とラベル表示が義務付けられる可能性がある上、リスクアセスメントの実施と化学物質管理者の選任も義務付けられる可能性があります。