更新:2025.04.09スマートSDSメディア編集部
2025年にはSDSやGHS分類にまつわる規格であるJIS Z 7252およびJIS Z 7253の改正が予定されています。
この規格は日本国内における化学物質管理のあり方を決定するものであり、化学物質を扱う事業者はこれらに準拠する必要があります。
本記事では、2025年のJIS Z 7252およびJIS Z 7253の改正について最新情報をお届けします。なお、今後ともJISに関する情報は徐々に解禁されていくと思われます。最新の情報が更新されましたら、このページを更新してお知らせします。
スマートSDSでは、こうした化学物質管理の法改正の最新の動向を踏まえ、「SDS関連業務の業務課題チェックシート」を無料で配布しています。ぜひダウンロードして業務にご活用ください。
JISとは日本産業規格(Japanese Industrial Standard)の略で、日本国内での工業製品やサービスの標準を定めている規格のことです。JISは製品間での互換性の確保や、公正性、安全性の確保を目的として制定されています。
JIS規格は経済産業省が所轄しており、日本産業標準調査会(JISC)が審議・制定を行なっています。
規格は「JIS + 部門 + 番号:発行年」の形で表記され、「部門」はA:土木及び建築、B:一般機械、C:電子機器及び電気機械のように定められています。
JIS Z 7252およびJIS Z 7253は部門記号はZであり、Z:その他に該当します。
JIS Z 7252およびJIS Z 7253は、化学品の分類やラベル表示、SDS作成に関する産業規格です。どちらも国連のGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づいて制定されています。
JIS Z 7252はGHS分類と呼ばれる、化学品の危険性や有害性の分類方法を定めた規格です。これは国連のGHSをもとに日本国内に向けて 調整されたもので、可燃性や爆発性などの物理化学的危険性や、急性毒性や発がん性などの健康有害性、環境有害性などの分類基準を定めています。
GHSに関しては別記事「【2024年最新】GHSとは? 分類方法、区分、絵表示やSDS・ラベルとの関係について簡単にわかりやすく解説」でまとめてますので、併せてご利用ください。
一方でJIS Z 7253はGHS分類の結果をもとにした危険有害性情報の伝達に関する規格です。具体的には化学品に対するラベル表示の要件や、SDS(安全データシート)の必須項目や作成方法について定められています。
SDSに関しては別記事「SDS(安全データシート)とは? 交付義務や作成方法、項目について簡単にわかりやすく解説!」もご確認ください。
JIS Z 7252およびJIS Z 7253は国連GHS文書に基づいています。国連GHS文書は2年に一度改訂されており、現在最新のものは2023年7月に発表された国連GHS文書改訂10版です。
一方で、現在の最新のJIS 規格は2019年に発表されたJIS Z 7252:2019およびJIS Z 7253:2019です。
こうした中で、国連のGHS文書に対応するためJIS規格の改定が行われる運びとなりました。ただし、2025年のJIS改訂は2023年ごろから計画が始まっていたこともあり、JIS Z 7252:2025およびJIS Z 7253:2025は2021年に発表された国連GHS文書改訂9版を元としたものになるとされています。
今回の改正では物理化学的危険性「爆発物」の全面的見直しが行われます。具体的には現状の「危険物輸送に関する勧告 試験方法及び判定基準のマニュアル」に基づいた不安定爆発物および等級1.1~1.6の7種類の区分から、使用場面を考慮した区分1、2A、2B、2Cの分類に変更されます。
なお、国連GHS文書改訂9版では爆発物の分類について以下のように規定されています。
物理化学的危険性からは、「可燃性ガス」についても見直しが行われます。これに関しては、現状の区分1、2および自然発火性ガス、化学的に不安定なガスの分類に対して、区分1Aよりも燃焼性が低い区分として区分1Bが追加されます。
国連GHS文書改訂9版では可燃性ガスの区分1Bについては、区分1Aの可燃性ガスの判定基準を満たし、自然発火性ガスでも化学的に不安定なガスでもなく、「燃焼下限が空気中の容積で6%を超える」または「基本的な燃焼速度が10cm/s未満」のどちらかの条件を満たすものとされています。
物理化学的危険性に関して、エアゾールの見直しも行われます。具体的には高圧ガスとエアゾールの中間に位置する区分として「加圧下化学品」が追加されます。
国連GHS文書改訂9版では、加圧下化学品に関して以下のように定義されています。
加圧下化学品とは、エアゾール噴霧器ではなく、かつ高圧ガスとは分類されない、圧力容器内で20℃において200kPa以上(ゲージ圧)の圧力でガスにより加圧された液体または固体(例えばペーストまたは粉体)をいう。
加圧下化学品は、可燃性/引火性成分の量およびそれらの燃焼熱によって以下の3つの区分に分類されます。
皮膚腐食性/刺激性は健康に対する有害性に該当します。これは非動物試験方法の拡大を背景に、in vitro/ex vivo試験を用いた分類方法が追加されます。なお、この分類方法を用いる場合はin vitro/ex vivo試験はOECDのテストガイドラインに基づいたものである必要があります。
今回の改正では、危険有害性情報のHコードと、注意書きのPコードが一部変更されます。これはJIS Z 7252の改訂による危険有害性区分の変更によるものです。
これらの変更は複数のコードに対して行われ、削除されるものや追加されるものなど様々です。例えば以下のような変更が挙げられます。
・H200,H201,H202,H203,H205の削除
・H209:爆発物、H210:非常に敏感の追加
・P201,P202の削除
・P203:使用前に全ての安全説明書を入手し、読み、従うことの追加
等です。
また、注意書きの使用における柔軟性に関する記載が拡大します。一定の条件下においては、助言が適切でない場合の注意書きの省略や、注意書きの統合または結合が行えます。詳細に関しては、国連GHS文書改訂9版の付属書3をご覧ください。
JIS Z 7253の付属書DはSDSの編集および作成に関する規定です。今回の改正では付属書Dの見直しが行われるとされています。
具体的な内容に関しては、小項目名の変更等の国連GHS文書の変更に伴う改訂から、労働安全衛生法の改正に伴うものまで多岐にわたります。国連GHS文書改訂9版については、SDSに関する記載は付属書の4に記載があるので参考にしてください。
JIS Z 7252:2025およびJIS Z 7253:2025については2025年の4~9月に公示される予定でしたが、現在改訂作業が遅れているとのことです。
JISの改訂はJJIS原案考案検討会から始まり、JIS原案作成委員会の作成後に主務大臣に提出され、審議されます。現状は主務大臣への提出までが完了しているとのことです。
JISの改訂は2025年後半、12月以降に後ろ倒しとなる見込みです。
なお、最新のJISが公示された際にも猶予期間はあると考えられます。実際2019年にJIS Z 7252:2019、JIS Z 7253:2019が公示された際にも、それに基づいたラベルおよびSDSの作成は2022年までの猶予期限が設定されていました。
最新の情報だと、今回のJISへの対応には5年ほどの猶予期間が設定される見込みです。
JISの改訂が行われた場合、その改訂内容に合わせてSDSの作成内容を見直さなければならないでしょう。
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