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皮膚腐食性/刺激性とは? 区分1・区分2の定義や絵表示、混合物のGHS分類方法についてわかりやすく解説

更新:2025.01.26
スマートSDSメディア編集部
皮膚腐食性/刺激性と��は? 区分1・区分2の定義や絵表示、混合物のGHS分類方法についてわかりやすく解説の記事本文サムネイル

SDS作成を行う際に必要になってくるGHS分類。その際に最も注意を払わなければいけないのが「健康に対する有害性」です。

健康に対する有害性は危険有害性の中でもSDSの全体に関わる情報であり、労働者の生命にも関わってくる内容であるため慎重に分類を行わなければなりません。

本記事では「健康に対する有害性」の一つである皮膚腐食性/刺激性について区分や絵表示を詳しく説明した後、実際に混合物に対して皮膚腐食性/刺激性の危険有害性を分類する手順を実例をもとに紹介していきます。

また、GHS分類なども含めた、作成に限らないSDSライフサイクル全体に生じてくる課題とその解決法についてこちらの資料にまとめています。今後の法改正を考慮した内容となっていますので併せてご利用ください。

お役立ち資料

皮膚腐食性/刺激性とは

皮膚腐食性/刺激性はGHS分類の対象となる危険有害性の一つであり、「健康に対する有害性」にあたります。

この項目は化学品を扱う際に最も懸念される有害性であり、SDSやラベルにも記載が必須のものです。具体的にはSDS第2項「危険有害性の要約」や第11項「有害性情報」に記載すべきことがJIS Z7253で定められています。

また、GHS分類の結果をもとにSDSの第4項以降が作成されることを考えると、SDS作成の全体に関わってくる情報であると言えます。

皮膚腐食性/刺激性はその人体に対する有害性の強さによって区分されます。詳しい区分は後述しますが、その区分によって皮膚腐食性と皮膚刺激性に分かれています。それぞれの定義は国連GHS文書によって定められており、以下にその内容を記載していますのでご覧ください。

なお、GHS分類について詳しく知りたい方は別記事「【2024年最新】GHSとは? 分類方法、区分、絵表示やSDS・ラベルとの関係について簡単にわかりやすく解説」をご覧ください。

皮膚腐食性

皮膚腐食性とは、化学品への4時間以内の暴露によって皮膚に対して不可逆的な損傷を生じさせることを言います。国連GHS文書では「表皮を貫通して真皮に至る明らかに認められる壊死」とも定義されています。

皮膚刺激性

皮膚刺激性とは、化学品への4時間以内の暴露によって皮膚に対して可逆的な損傷を生じさせることを言います。

皮膚腐食性/刺激性の区分

皮膚腐食性/刺激性はその人体に対する有害性の程度によって区分1~3に分類されます。先述のようにその区分によって皮膚腐食性と皮膚刺激性に名称が分けられており、区分1に該当する場合は皮膚腐食性、区分2および3に該当する場合は皮膚刺激性が当てはまります。なお、GHSでは化学品のGHS分類を行う際に新しい試験を行うまでは求めていませんので、以下に示す詳細な区分の判定基準は参考程度にご利用ください。

参考:皮膚腐食性の区分(区分1)

当該化学品が皮膚腐食性に該当するかの判定基準は以下のとおりです。

皮膚腐食性 判定基準

【引用】国連GHS文書

なお、細区分は所轄官庁や提供先の都合でより詳しい区分が必要とされる際に使用する区分のことです。細区分に分類するためのデータが不十分である場合には区分1を記載してください。

参考:皮膚刺激性の区分(区分2,3)

当該化学品が皮膚刺激性に該当するかの判定基準は以下のとおりです。

皮膚刺激性 判定基準

【引用】国連GHS文書

繰り返しになりますが、GHS分類を行う際には入手可能なデータを全て参照する努力義務がありますが、新しい試験を行うまでは求められていない点に注意してください。

なお、上記表中にみられる紅斑/痂皮または浮腫のスコアとはOECDの定めるテストガイドラインに基づいており、以下がその基準となります。

皮膚刺激性試験スコア

【引用】OECD:テストガイドライン404

皮膚腐食性/刺激性の絵表示

急性毒性には上記の区分に応じてGHSに基づく絵表示が定められています。具体的なマークについては以下の表をご覧ください。

区分1

区分2

区分3

腐食性 GHS絵表示
感嘆符 GHS絵表示

絵表示なし

区分ごとに絵表示が異なる点に注意してください。特に、区分3に関しては絵表示の必要はありません。

区分1に関しては、細区分1A,1B,1Cに関しても腐食性のマークを使用してください。

混合物のGHS分類方法

それでは、本項目では混合物の皮膚腐食性/刺激性の区分分類方法を解説します。混合物のGHS分類は公開情報として存在することは稀なため、SDSを作成する際にはGHS分類が必須となります。ぜひ活用ください。

なお、本記事では皮膚腐食性/刺激性に特化した分類方法を解説しています。GHS分類の全体的な流れについては別記事「【2024年最新】GHSとは? 分類方法、区分、絵表示やSDS・ラベルとの関係について簡単にわかりやすく解説」も合わせてご利用ください。

混合物に対する皮膚腐食性/刺激性のGHS分類は以下のチャートにしたがって行います。

1. 混合物そのものの実験データがある場合

混合物そのものの実験データがある場合は、上記で示した分類基準をもとに判断してください。

また、混合物のpHが2以下および11.5以上など極端な場合は皮膚作用があると考えられます。この場合、特に他の情報がない場合にはその化学物質は皮膚腐食性(区分1)とみなすことができます。

2. 十分なデータのある類似した混合物がある場合

対象となる混合物そのものには急性毒性を決定するための試験がなされていないが、各成分および類似の製品 の有害性について十分なデータがある場合、これらのデータをつなぎの原則という規則に従って利用することができます。

混合物の類似性を評価するプロセスやつなぎの法則については別記事「つなぎの原則とは? 混合物のGHS分類に必要な原則についてわかりやすく解説」で解説していますが、この判断プロセスは混合物の組成によっては非常に複雑なものとなり専門家の判断を必要とする場合があります。したがって混合物の類似性判断の妥当性に確証が得られない場合には、以降に紹介する基準での分類方法も視野に入れて判断を行なってください。

3. 加成方式を適応できる場合

加成方式とは、加成性の理論に基づいた混合物の分類方法です。これは皮膚腐食性/刺激性に該当する各成分はその濃度および程度に応じて混合物そのものの皮膚腐食性/刺激性に寄与しているとする考え方のことです。

具体的には、当該混合物に皮膚腐食性/刺激性の各区分に該当する成分が以下の表の濃度以上含まれている場合には、混合物は該当する区分に分類されます。

皮膚腐食性/刺激性 加算方式 分類表

もし、皮膚腐食性の細区分を用いる必要がある場合は、混合物を1A,1B,1Cに分類するためには1A,1B.1Cと分類されている混合物の成分の合計が5%以上必要です。混合物の1つ以上の成分が細区分なしに区分1に分類されている場合は、混合物の分類に細区分を用いるべきではありません。

では、こちらをもとに以下の成分A,B,Cからなる混合物のGHS分類を行なってみます。

  • 成分A 区分1 濃度0.2%
  • 成分B 区分2 濃度9.8%
  • 成分C 区分に該当しない 濃度90.0%

こちらは区分1の成分の合計濃度が0.5%なので、混合物は区分1には該当しません。区分2の成分の合計濃度も10%以下ですが、(10×区分1)+区分2の濃度の合計が11.8% >10%であるため、混合物は皮膚腐食性/刺激性の区分2に該当します。

また、強酸または強塩基を含む混合物に関しては1%未満の濃度であっても皮膚腐食性ないし刺激性を示す場合があります。そのほかにもアルデヒド類や界面活性剤などは上記の加成方式の判定基準では適切な分類ができない場合があります。そういった際には次項のpHを基準とした判定方法を用いてください。

4. 加成方式を適応できない場合

化学品の特性で加成方式の判定基準を用いるのが適切ではないと判断される場合、1%以上の腐食性成分を含む場合には、皮膚腐食性区分1に、また 3%以上の刺激性成分 を含む場合は皮膚刺激性区分 2 または区分 3 に分類する。

もしくは、pHによる判定方法が適切であると考えられる場合には以下の基準を適応します。それぞれの場合における分類方法は次の表にまとめられています。

皮膚腐食性/刺激性 pH基準

【引用】国連GHS文書

では、pHによる分類方法の例を簡単ですが紹介します。

  • 成分A pH≦2の酸 濃度3%
  • 成分B 区分に該当しない 濃度97%

pHが2以上の酸が1%以上の濃度で存在するため、混合物の皮膚腐食性/刺激性のGHS分類は区分1となります。

まとめ

以上が皮膚腐食性/刺激性のGHS分類方法になります。GHS分類はラベル表示やSDS作成をする際に必須の作業となるので、正確にとり行うようにしてください。

ただ、GHS分類およびSDS作成業務は知識があったとしてもかなりの時間と手間がかかる作業であることも事実です。

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