SDS作成を行う際に必要になってくるGHS分類。その際に最も注意を払わなければいけないのが「健康に対する有害性」です。
健康に対する有害性は危険有害性の中でもSDSの全体に関わる情報であり、労働者の生命にも関わってくる内容であるため慎重に分類を行わなければなりません。
本記事では「健康に対する有害性」の一つである皮膚腐食性/刺激性について区分や絵表示を詳しく説明した後、実際に混合物に対して皮膚腐食性/刺激性の危険有害性を分類する手順を実例をもとに紹介していきます。
また、GHS分類なども含めた、作成に限らないSDSライフサイクル全体に生じてくる課題とその解決法についてこちらの資料にまとめています。今後の法改正を考慮した内容となっていますので併せてご利用ください。
皮膚腐食性/刺激性はGHS分類の対象となる危険有害性の一つであり、「健康に対する有害性」にあたります。
この項目は化学品を扱う際に最も懸念される有害性であり、SDSやラベルにも記載が必須のものです。具体的にはSDS第2項「危険有害性の要約」や第11項「有害性情報」に記載すべきことがJIS Z7253で定められています。
また、GHS分類の結果をもとにSDSの第4項以降が作成されることを考えると、SDS作成の全体に関わってくる情報であると言えます。
皮膚腐食性/刺激性はその人体に対する有害性の強さによって区分されます。詳しい区分は後述しますが、その区分によって皮膚腐食性と皮膚刺激性に分かれています。それぞれの定義は国連GHS文書によって定められており、以下にその内容を記載していますのでご覧ください。
なお、GHS分類について詳しく知りたい方は別記事「【2024年最新】GHSとは? 分類方法、区分、絵表示やSDS・ラベルとの関係について簡単にわかりやすく解説」をご覧ください。
皮膚腐食性とは、化学品への4時間以内の暴露によって皮膚に対して不可逆的な損傷を生じさせることを言います。国連GHS文書では「表皮を貫通して真皮に至る明らかに認められる壊死」とも定義されています。
皮膚刺激性とは、化学品への4時間以内の暴露によって皮膚に対して可逆的な損傷を生じさせることを言います。
皮膚腐食性/刺激性はその人体に対する有害性の程度によって区分1~3に分類されます。先述のようにその区分によって皮膚腐食性と皮膚刺激性に名称が分けられており、区分1に該当する場合は皮膚腐食性、区分2および3に該当する場合は皮膚刺激性が当てはまります。なお、GHSでは化学品のGHS分類を行う際に新しい試験を行うまでは求めていませんので、以下に示す詳細な区分の判定基準は参考程度にご利用ください。
当該化学品が皮膚腐食性に該当するかの判定基準は以下のとおりです。