労働安全衛生法

裾切値とは? 読み方やSDS、リスクアセスメントとの関係をわかりやすく解説

更新:2025.02.17
スマートSDSメディア編集部
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化学物質管理に関わっていると、「裾切値」という言葉をよく目にします。この裾切値は一つの物質に対して複数値が設定されているなど、わかりにくい部分があるかもしれません。

本記事では、裾切値について詳しく解説していきます。

裾切値とは?

裾切値の読み方は「すそきりち」です。裾切値は労働安全衛生法において定められている、各物質がラベル表示義務やSDS交付義務の対象物となるための混合物中の濃度下限値のことです。

裾切値はラベル表示義務の裾切値とSDS交付義務の裾切値で異なる場合があります。これが一つの物質に対して複数値が設定されている理由です。また、リスクアセスメント実施義務の対象となるための裾切値には、ラベル表示義務の裾切値とSDS交付義務の裾切値のうち、値が小さいほうが該当します。

裾切値に関しては厚生労働省が発表している化学物質対策に関するQ&AのQ4において、法解釈も含めて具体的な物質についても解説されていますので、参考にしてください。

ラベル表示義務とSDS交付義務

労働安全衛生法では、ラベル表示義務、SDS交付義務およびリスクアセスメント実施義務に対して裾切り値が設定されています。

これらの義務対象物質に関しては、対象となる物質名自体は同じもので、2025年2月現在896の物質が該当します。

したがって、ラベル表示義務とSDS交付義務は裾切値のみによって区別されていると言えます。

裾切値の確認方法

ここでは、実際に裾切値を確認する方法について解説します。

裾切り値は、厚生労働省の職場の安全サイトから対象物質の一覧表がダウンロードできます。

今回は、アセトンの裾切値を例にします。

上記のサイトからエクセルファイルをダウンロードすると、以下のような画面が表示されます。

アセトンの裾切値の表

【引用】厚生労働省:職場の安全サイト

表示裾切がラベル表示の裾切値、通知裾切がSDS交付の裾切値となります。

したがってアセトンを含む混合物に関しては、アセトンの含有量が0.1%以上の場合はSDS交付およびリスクアセスメントの実施の義務が、1%以上の場合はさらにラベル表示の義務が課されるということになります。

また、表示裾切と通知裾切が同一の値となっているものもあれば、異なる値となっているものがあることもわかります。

裾切値の今後

労働安全衛生法に基づく表示・通知義務対象物質は現在は896物質ですが、今後継続的に追加されていくことが決定しています。

直近では2025年4月1日および2026年4月1日にそれぞれ約700物質ずつの追加が予定されており、今後2年以内に義務対象物質は約2300まで拡大するとされています。当然それらの物質にも裾切り値が設定されます。

また、義務対象物質の追加と同時にこれまでの裾切値の見直しが行われる点も注意が必要です。

例えば、2025年4月1日の改正分では、上記の図でアセトンの一つ上に表示されていたアセトフェノンのSDS交付の裾切値が0.1%となり、その2つ上に表示されていたアセトアルデヒドのラベル表示の裾切値が0.1%となります。

【引用】ケミサポ

このように、裾切値の改正はかなり多くの物質に対して行われることが予想されます。表示・通知対象物質の追加が行われる際には、既存の物質の裾切り地の変更の有無についてもしっかりと確認するのが良いでしょう。

まとめ

SDS交付義務対象の物質を自社で扱っていることが判明した場合、法令適合のためすぐに対応を行うべきです。

労働安全衛生法の改正などにより対象物質は拡大しています。今後もすでに対象物質の追加が予定されているため、遺漏ないよう定期的に確認をするようにしましょう。

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