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国連番号とは? 一覧や決め方、容器等級などについてわかりやすく解説!

更新:2025.12.09スマートSDSメディア編集部

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化学品を国内・国外へ輸送する際に、SDSや輸送関連の書類で国連番号という4桁の数字を目にしたことはありませんか?

化学品の輸出入や輸送に携わる方にとって、国連番号は避けて通れない重要な情報です。この番号がわからないと、輸送の遅延や通関トラブル、最悪の場合は事故につながる可能性もゼロではありません。

この記事では、化学品管理の視点から、国連番号の基本的な知識から一覧の探し方、自社製品の国連番号の決め方、そして密接に関わる「容器等級」との違いまで、わかりやすく解説します。

国連番号とは

国連番号とは、国連の経済社会理事会に属する「危険物輸送専門家委員会」が定めた「危険物輸送に関する勧告(オレンジブック)」に基づいて、危険有害性があると判断された物質や製品に付与される、世界共通の4桁の識別番号です。

例えば、以下のように表記されます。

  • UN3480:リチウムイオン電池(リチウムイオンポリマー電池を含む)(装置とともに包装されたもの)
  • UN1779:ぎ酸(濃度が85質量%を超えるものに限る。)
  • UN1072:酸素(圧縮されているもの)

この4桁の数字自体に特別な意味はなく、危険物が特定された順番に割り振られる通し番号です。しかし、この番号さえ分かれば、その物質が「どのような危険性を持ち、どのように輸送・梱包すればよいか」という世界共通のルールを即座に把握できます。

国連番号の必要性

では、なぜこのような共通の番号が必要なのでしょうか。その最大の目的は、「危険物の安全かつ円滑な国際輸送を実現すること」にあります。

世界中では、日々さまざまな化学品が国境を越えて輸送されています。もし、国ごとに危険物の定義や表示、取り扱いルールがバラバラだったらその取り扱い時に大きな混乱を招くでしょう。

このような混乱は、貿易の大きな障壁になるだけでなく、輸送に関わる人々の安全を脅かし、環境汚染などの大事故につながるリスクを高めます。

国連番号は、こうした問題を解決するために生まれました。言語や文化が違っても国連番号を共有することで、誰もがその危険物の情報を正確に理解し、定められたルールに沿って安全に取り扱うことができるのです。

対象となる危険物(国連分類)

国連番号が割り当てられるのは、「危険物輸送に関する勧告」において危険有害性があるとされる物質です。これらの危険物は、その性質によって大きく9つのクラスに分類されています。これを国連分類と呼びます。

クラス|等級

内容

クラス1

火薬類

爆薬、花火、弾薬など

クラス2

高圧ガス

圧縮ガス、液化ガス(プロパン、ブタンなど)

クラス3

引火性液体類

ガソリン、アルコール、塗料など

クラス4

可燃性物質類

マッチ、金属粉末など

クラス5

酸化性物質類

過酸化水素など

クラス6

毒物類

農薬、医療廃棄物など

クラス7

放射性物質

放射性同位元素など

クラス8

腐食性物質

強酸、強アルカリなど

クラス9

その他の有害性物質

リチウムイオン電池、エアバッグなど

自社で扱う製品がこれらのいずれかに該当する場合、輸送のためには国連番号の特定が必要不可欠となります。

国連分類と国連番号は、「輸送されるものが化学的に純粋な単一の化合物か、それとも製品や完成品か」に関わらず、「輸送中にどのような危険性があるか」という一点に焦点を当てて包括的に割り当てられています。

また、国際海上危険物規程(IMDGコード)や航空危険物規則(IATA-DGR)など、各輸送モード(海上、航空、陸上)の国際規則は、この国連分類に基づいており、世界共通の基準として認知されています。つまり、国連番号を特定することは、これらの輸送規則を遵守するための出発点となるのです。

国連番号の一覧と判断方法

実際に製品を輸送する際には国連番号を確認しなければなりませんが、それは化学物質管理者の責任の元行われます。化学物質管理者については、【2024年選任義務化】化学物質管理者とは?で詳しく解説してますのでご覧ください。

以下、国連番号の具体的な判断方法を解説します。

SDSを確認する

最も確実で基本的な方法は、その製品の「安全データシート(SDS)」を確認することです。

SDSは、化学物質や製品を安全に取り扱うための情報を記載した書類で、危険物を取り扱う場合供給者から使用者へ提供することが法律で義務付けられています。SDSの「14. 輸送上の注意」の項目には、その製品に該当する国連番号、品名、クラス、容器等級などが記載されています。

まずは対象製品のSDSを取り寄せ、14項を確認しましょう。ここに記載があれば、それがその製品の正式な輸送情報となります。

もし手元にSDSがない、または記載がない場合は、製品の製造元や供給元に問い合わせて、最新のSDSを提供してもらう必要があります。

データベースやリストを活用する

SDSが手に入らない場合、または自社製品であるため国連番号をSDSに記載しなければならない場合は、自ら国連番号を決定する必要があります。

こうした場合には、化学物質の名称やGHS分類などから国連番号を検索します。

国連番号の一覧は、インターネット上で確認ができます。例えば、化学物質の爆発安全情報データベースのサイトにも掲載がありますので、参照ください。

実際、混合物や新しい物質の国連番号を正確に判定する作業には、専門的な知識と経験が求められます。

もし判定を誤ると、不適切な梱包やラベル表示につながり、輸送業者から引き受けを拒否されたり、法規制違反となったりするリスクがあります。自社での判断に少しでも不安がある場合は、無理せず輸送コンサルタントや試験機関などの専門家に相談することを強く推奨します。

なお、弊社が提供しているSDS作成ソフトのスマートSDSメイクでは、化学品の組成情報から国連番号をサジェストで表示する機能がついており、簡単に国連番号を判断することが可能です。ご関心がございましたら、無料トライアルも受け付けておりますのでぜひご体験ください。

容器等級とは

国連番号とセットで必ず出てくるのが容器等級という言葉です。これは、国連番号で識別される危険物の危険性の程度を3段階で示したものです。危険性の「種類」を示す国連分類に対し、容器等級は危険性の「程度」を示すものと理解すると分かりやすいでしょう。容器等級に基づき使用すべき容器や梱包方法が決定されます。

容器等級は、危険性の高い順にローマ数字で表記されます。

容器等級

意味

容器等級Ⅰ

高い危険性を有するもの

最も頑丈で信頼性の高い容器・梱包が要求されます

容器等級Ⅱ

中程度の危険性を有するもの

中程度の基準を満たす容器・梱包が要求されます

容器等級Ⅲ

低い危険性を有するもの

最も基準の緩やかな容器・梱包が要求されます

例えば、同じ「引火性液体」でも、非常に引火しやすい物質は容器等級Iに、比較的引火しにくい物質は容器等級IIIに分類される、といった具合です。

物質の容器等級は、国連番号と密接に関連付けられています。例えば、UN3480のリチウムイオン電池は容器等級はⅡというように対応が決まっています。ただし、同じ国連番号を持つ物質でも、含有する不純物や濃度、物理的な状態によって適用される容器等級が変わるケースがあります。最終的な判断は、その製品固有のSDSに基づいて行う必要があります。

UNマークとの関連

容器等級と密接に関わるのがUNマークです。これは、危険物を輸送する容器が、国連の定めた厳しい基準をクリアしていることを証明する、安全な容器の証です。

原則として、UNマークのない容器で危険物を国際輸送することはできません。

UNマークは、円の中に「u」と「n」を組み合わせた以下のような記号から始まり、その後に容器の材質、性能などを示すコードが続きます。このコードを読み解くことで、容器の詳細な情報がわかります。

例えば、

(UN) 1A1 / X 1.2 / 100 / 24 / JPN / AB123

という表示があった場合、以下のような意味になります。

コード

意味

UN

国連規格に適合していることを示すシンボルマークです。

1A1

容器の種類と材質を表します。

1:ドラム
A:材質が鋼
1:天板が取り外せないタイプ

Y

収容可能な容器等級を表します。

X:容器等級I, II, IIIのすべてに対応
Y:容器等級II, IIIに対応
Z:容器等級IIIのみに対応

1.2

液体を収納する場合。この場合は比重1.2までの液体を収納可能。固体(粉体)の場合は最大総質量(kg)が記載される。

100

液体を収納する場合の容器が耐えられる圧力を示す。

24

製造年(2024年)

JPN

承認した国の記号

AB123

製造メーカーや検査機関を示すコード

このように、UNマークは危険物輸送における容器のパスポートのような役割を果たしており、関係者が安全性を瞬時に確認できるようにするための重要な目印です。

まとめ

今回は、危険物輸送の要である「国連番号」について、その定義から探し方、決め方、そして容器等級との関係までを網羅的に解説しました。

化学品の国際輸送や国内での取り扱いにおいて、これらのルールを正しく理解し遵守することは、企業の信頼性を守り、安全を確保する上で極めて重要です。

とはいえ、数多ある化学物質の国連番号を一つひとつ特定し、関連法規を調査し、常に最新の情報を維持管理するのは、非常に手間とコストがかかる専門的な業務です。

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