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SDSの電子化について:厚生労働省による標準フォーマットや補助金について解説

更新:2025.05.06スマートSDSメディア編集部

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SDSをめぐる法規制は近年目まぐるしく変化しています。その最先端で議論されているものの一つにSDSの電子化があります。

本記事では、厚生労働省等で議論されているSDSの電子化にまつわる最新情報と、それに伴い実施されるSDS電子化補助金について解説します。

SDSの電子化

SDSの電子化の推奨

化学物質を取り扱う現場での情報管理が、いま大きな転換期を迎えています。2022年以降化学物質管理の方針が「個別具体的な管理」から「自律的な管理」に転換されて以降、SDS交付義務の対象物質が急増し、2025年現在では約1600物質まで増加しました。2026年4月にはさらに700物質の追加が予定されています。

こうした状況に対して、厚生労働省はSDSの電子的な管理を推奨しています。2024年8月に厚生労働省が公表した「化学物質管理に係る専門家検討会中間取りまとめ」では、SDS(安全データシート)の電子化が強く推奨されています。また、詳しくは後述しますが、2025年3月31日には「SDS データ交換フォーマット データ利用マニュアル」が公開され、電子化の標準的なフォーマットが定められました。これは、事業者が従業員の安全確保と法令遵守を両立させるうえで、デジタル化がもはや不可欠であるという国のメッセージと捉えることができます。

紙のSDSの問題点

SDSは、製品に含まれる化学物質の危険性や取扱い方法を示す法定文書であり、労働安全衛生法により交付が義務付けられています。しかしこれまで、その多くは紙ベースで配布・管理されてきました。こうしたアナログな運用は、更新情報の伝達ミスや古い情報の残存といったリスクを内包しており、特に多拠点展開している企業やサプライチェーン全体での共有において大きな課題となっていました。

実際、スマートSDSが独自で実施したSDS管理に関するアンメート調査によると、「期限の切れたSDS(最終更新日が5年前)や、間違ったSDSを保管していたことがありますか?」という項目に対して、75%の企業が「よくある」「ある」と回答しており、この問題の根深さが窺えます。

スマートSDSアンケート調査結果

なお、こちらの調査結果については、以下の資料で公開しております。SDS業務の最新調査データとなっておりますので、ぜひご利用ください。

SDS管理の実態調査2025 CTA画像

化学物質管理に係る専門家検討会中間取りまとめ

今回の報告書では、13ページから14ページにわたってSDSの電子化について述べられています。そこではSDSの電子化について、

危険有害性情報、非常時対応や適用法令について、SDS 等で通知した事項を変更した場合、速やかに変更された事項の通知を行えるよう、SDS 等 による通知の電子化及び標準化を推進すべきである(当面の間、電子化・ 標準化を法令上の義務とはしない)。

と表記されています。また、電子化および標準化の方法については、標準的な電子データ配列を定め、各企業がそれぞれの電子システムに直接入力可能となるような形式を取るとされています。この標準的な電子データ配列について定めているのが、後述する「SDS データ交換フォーマット データ利用マニュアル」になります。

なお、報告書の同部分には以下のような内容もあります。

現在、努力義務となっている、通知事項の変更時 の譲渡・提供先への速やかな通知を義務化すべきである。

実際、3月には参議院にSDS更新時の通知義務化と、SDS関連の罰則規定を定めた「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が提出され、可決されています。現在衆議院に提出されていますが、通過するのはほぼ確実と言えます。近い将来SDSの更新通知の義務化と、SDSの罰則規定の追加が行われるのは間違いないでしょう。

SDSの電子化フォーマット

SDSの電子化フォーマットとは、2025年3月31日に厚生労働省が公開した「SDSデータ交換フォーマットデータ利用マニュアル(システム開発者向け)」のことです。

この文書では、サプライチェーン各社間で流通するSDS情報をデータとして円滑に交換するためのフォーマットが定められています。特に、SDS受領者の自社システム等への情報入力時の負担軽減や、入力ミスの低減が目的にあると考えられます。

具体的には、JSON形式のデータとして定義されています。化学メーカー各社はこの形式について把握する必要はないと考えられますが、今後SDSの電子的取引が主流となってくることを考えると、このフォーマットに対応したシステムを導入する必要性は高まっていくでしょう。

SDSツール補助金

また、上記のSDS電子化フォーマットに対応したSDSツールを導入する際の補助金が準備されていることも公表されました。

この補助金は厚生労働省の要請を受けて中央労働災害防止協会(中防災)が実施するものです。詳細は中防災が公開している資料からご覧いただけます。

なお、補助金の交付が受けられるツールの条件として以下のように定められています。

  • SDS電子化フォーマットに対応したSDSを読み込む機能
  • 紙またはPDFのSDSを読み込む機能
  • SDS電子化フォーマットに対応したSDSを出力する機能
  • 労働安全衛生法に準拠していない場合に記入を促す機能

一つ目と二つの目の機能に関してはどちらか一方のみでも可能です。

補助金交付が開始する時期は定められていませんが、2025年度中であるとされています。補助金上限額は100万円です。

スマートSDSについて

スマートSDSは上記の機能について全て対応しています。補助金交付が開始次第申請に対応する予定です。

なお、スマートSDSはSDS電子化補助金以外にも「IT導入補助金2025」にも対応しております。

これはITツールを導入する中小企業を対象とした補助金で、スマートSDSではSDS電子化補助金以上の最大120万円の補助が可能となっています。

IT導入補助金はすでに開始している補助金であり、スマートSDSは事業者登録済みとなっています。すぐに案内可能ですが、補助金の予算が埋まり次第使えなくなってしまいますので、ツール導入をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。

無料のトライアル等からでもご案内が可能です。

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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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