更新:2025.08.18スマートSDSメディア編集部
SDSをめぐる法規制は近年目まぐるしく変化しています。その最先端で議論されているものの一つにSDSの電子化があります。厚生労働省は現在SDSの電子化に注力しており、この分野で補助金事業も始まっています。
本記事では、2025年8月1日から実施されているSDS電子化補助金について、具体的な補助額や各種要件、対象となる企業や製品についてなどを詳しく解説します。
SDS電子化補助金とは、厚生労働省と中央労働災害防止協会が主導する、SDSの作成・管理システムを導入する中小企業に対して交付される補助金のことです。どのような製品が補助金交付の対象となるかは「SDS電子化補助金の対象となる製品」で後述しております。
近年、度重なる労働安全衛生法の改正などにより、SDS交付義務の対象となる物質が約1600物質にまで増加しました。2026年の4月1日には、さらに700物質の追加が予定されており、今後も交付義務の範囲が拡大していく流れはしばらく続きそうです。それに伴い、現場でのSDS作成・管理の負担も大幅に増加しました。具体的には、それまで交付義務対象外であった物質が新しく交付対象になることによるSDS交付件数の増加や、法改正に伴う既存SDSの更新などの業務です。こういった状況を鑑み、SDS作成・管理業務をITツールの導入で効率化していく流れを業界全体で作っていく目的で実施されるのが今回の補助金であると 思われます。
SDS電子化補助金事業で、補助金の交付を受けることができるのは「中小企業基本法第二条第一項に規定する中小企業者」に該当する企業です。具体的には以下のような条件に該当する場合、補助金の交付を受けられます。
業種 | 条件 |
---|---|
①製造業その他の業種(②〜④を除く) | ・資本金の額または出資の総額が3億円以下 ・常時使用する従業員の数が300人以下 のいずれかに該当 |
②卸売業 | ・資本金の額または出資の総額が1億円以下 ・常時使用する従業員の数が100人以下 のいずれかに該当 |
③小売業 | ・ 資本金の額または出資の総額が5千万円以下 ・常時使用する従業員の数が50人以下 のいずれかに該当 |
④サービス業 | ・資本金の額または出資の総額が5千円以下 ・常時使用する従業員の数が100人以下 のいずれかに該当 |
なお、自社が上記分類のどの業種に該当するかは、総務省が管轄する日本標準産業分類を確認したのち、中小企業庁が公表している対応表と照らし合わせることで判断できます。
また、医療法人、社会福祉法人、NPO 法人等で、資本金の額又は出資の総額がない場合には、常時使用する労働者数により判断するとされています。
【参考】中央労働災害防止協会:令和7年度SDS電子化補助金事業Q&A
SDS電子化補助金の補助額は、「対象製品の導入に必要な経費の二分の一、ただし、上限100万円」と定められています。
なお、補助金交付の対象となる経費について、対象範囲は以下のように定められています。
となります。
以上に基づいた例を示します。例えば、月額10万円、初期費用10万円のシステムを導入する場合、初期費用の10万円分と、運用費用月10万円が19ヶ月分で合計200万円ですので、これらで100万円の補助を受けられるということになります。なお、消費税は補助対象に含まれません。
SDS電子化補助金の申請期間は2025年8月1日から2025年11月30日までです。
すでに始まっており、スマートSDSもすでに補助金を利用したご導入に対応しています。すでに多くの皆様にご利用いただいております。
なお、補助金申請の期間は2025年11月30日までと定められていますが、中央労働災害防止協会側での補助金資金の総額には限りがあり、補助金の執行状況次第では早期に終了してしまうこともありうるということです。補助金を利用した導入をご検討されている方は、ぜひお早めにお問い合わせください。
SDS電子化補助金の対象となる製品は、以下の2つの条件を満たしているものとされています。まとめると、厚生労働省により公表された「SDS情報交換のための標準的フォーマット」に則る形でSDSを入出力できる製品ということになります。
①SDSの入力 | 以下のいずれかの読み込み機能を有し、判読可能なSDSとして復元する機能を有すること
|
②SDSの出力 | SDSをSDS情報交換のための標準フォーマットに基づき出 力する機能を有すること |
SDS情報交換のための標準フォーマットとは、SDSによる危険有害性の通知を迅速化するために厚生労働省によって定められた、SDSデータの入出力に関する要求仕様のことです。
【引用】厚生労働省:SDS データ交換フォーマットデータ利用マニュアル(システム開発者向け)
事業者間でのSDSの授受を統一的なフォーマットで行うことによって、これまで紙やPDFのSDSを用いていた場合に非常に手間がかかっていた、自社システムへの情報入力作業の負担軽減と、ミスの低減を目標としています。
具体的なフォーマットの形式についてはここでは詳述しませんが、SDSをJSON形式のデータとして入出力することが求められます。JSONデータのサンプルがありますので、ダウンロードしてご確認ください。
化学品を扱う事業者がこのフォーマットを意識する必要はないでしょう。必要なのは、標準フォーマットでのSDS入出力が可能なシステムを導入することです。
スマートSDSは、標準フォーマットでの入出力、PDF形式での入出力のどちらにも対応しています。ご関心がございましたら、無料トライアルも可能です。ぜひお問い合わせください。
では、SDS電子化補助金の交付を受けてシステムを導入する手順をご紹介します。実際にスマートSDSをご導入いただく場合には、弊社の専門家がサポートいたしますので、お問い合わせください。
申請時に必要な書類は以下のとおりです。なお、申請はjGrantsという政府システムからオンラインで行いますが、そのご利用のためにはGビズIDが必要です。取得をされていない事業者の方は、そちらも取得するようにしてください。無料で取得できます。
書類名 | 様式 | 備考 |
---|---|---|
交付申請書 | ファイル名:sinsei(株式会社○○).xlsx | |
見積書等の写し | 任意様式 | 消費税を除いた金額と、保守費用の申請期間(最長3年)がわかるようにします。 |
誓約書 | ファイル名:seiyaku(株式会社○○).docx | |
役員名簿等 | 指定のエクセル様式(ダウンロード)、記載内容が含まれていれば他の様式でも可 | ファイル名:meibo(株式会社○○).xlsx |
労働保険料納付証明書 | 任意様式 | 所轄労働局より証明をいただき添付してください。 |
申請対象システムの概要等 | 任意様式 | スマートSDSが用意いたします。 |
割賦計画書 | 任意様式 | 割賦契約者のみ |
全体的な申請の流れは次のようになります。
なお、交付審査の結果交付が決定する前にシステムを実際に導入した場合、補助金の対象外となってしまうので注意が必要です。
また、システムの導入後に補助金の請求を行う必要があります。補助金請求時にもいくつか資料が必要となっており、以下のようになります。
書類名 | 様式 | 備考 |
---|---|---|
補助金請求書 | ファイル名:seikyu(株式会社○○).xlsx | |
納品書、請求書、領収書 | 任意様式 | 消費税を除いた金額と、保守費用の申請期間(最長3年)がわかるようにします。 |
割賦契約書及び割賦支払実績が証明できる領収書等 | 任意様式 | 割賦契約者のみ |
売買契約書の写し | 任意様式 | |
中災防が提供する電子情報をSDSとして印字したもの | 任意様式 | 別途、中災防が提供する電子情報をSDSとして印字したものを添付します。 |
システム導入に 係るチェックシート | ファイル名:check-sheet(株式会社○○).xlsx |
今回はSDS電子化補助金について解説しました。この補助金は、厚生労働省がSDSの電子化に本気で乗り出しているという意思表示と捉えることができます。
実際SDS交付義務対象物質はここ数年で大幅に増加し、今後も増加することが予定されています。また、先日公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」では、SDS交付義務に違反した場合の罰則規定が定められました。
今後はSDSを電子的に管理する仕組みが必要不可欠になるでしょう。その動きは今回の補助金で大幅に加速していくと思われます。
そこでおすすめしたいのがSDS作成・管理ソフト「スマートSDS」です。
スマートSDSは、SDSの作成を行う企業様向けの「スマートSDSメイク」とSDSを受け取って管理する企業様向けの「スマー トSDSチェック」の2製品からなり、どちらもSDS電子化補助金に対応しています。
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