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食品を扱う場合のSDS交付の必要性について! 最新の労働安全衛生法に基づく事例を解説

更新:2025.01.26
スマートSDSメディア編集部
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食品を提供する際のSDSの必要性に関して迷ったことはありませんか?

2024年4月の労働安全衛生法の改正で、SDS交付義務対象の拡大が行われました。事業場で対象物質を扱っているにもかかわらずSDSの交付を怠っていた場合、該当事業者に対して行政の指導が入ってしまう可能性があるだけでなく、重大な事故にも繋がりかねません。

本記事では、食品を扱う事業場に特化してSDSの必要性について解説します。法令適合のためにぜひご活用ください。

SDSとは

SDSとは安全データシート(Safe Date Sheet)の略です。これはある事業者から別の事業者へと化学物質を譲渡・提供する際に、その化学物質の危険性や取り扱い方法などを提供者から提供先へと伝達するために交付されるものです。

本記事では食品に特化したSDS交付の必要性について解説しています。SDSの大まかな作り方などに関しては別記事「【2024年最新版】SDSとは? 作り方の流れや交付義務、MSDSとの違いについても簡単にわかりやすく解説!」にまとめてありますので、そちらもご活用ください。

SDS交付対象物質

SDSは、労働安全衛生法で定められた特定の化学物質を扱う全ての事業者に対して交付が義務付けられています。

2024年4月の労働安全衛生法の改正で、現在では896物質が交付義務の対象となっており、今後も増加していくことが予定されています。法改正を受けて生じてくる課題と、その解決方法について以下の資料でチェックシートにまとめていますのでぜひご利用ください。

お役立ち資料

詳細な物質名は厚生労働省のサイト「SDS交付義務対象物質の一覧」からご確認ください。

また、それぞれの化学物質に対しては基準値があり、基準値以下しか含まれない場合は対象外となります。

例えば除菌剤のようなものを扱っている場合、エタノールがSDS交付義務の対象ですのでエタノールを基準値以上の割合で含む製品を扱っている場合、SDSの交付が必要となります。

ただし、こちらのSDS交付義務には例外事項があり、「一般消費者の生活の用に供される製品」を扱っている場合に関しては、たとえ基準値以上の量のSDS交付義務対象物質を含んだ製品を扱っていても交付の必要がないとされています。

エタノールの例ですと、主に飲食店やその他事業場に販売されることを目的とした業務用の除菌剤に対してはSDS交付義務が発生しますが、一般的な消費者の使用を想定して薬局等の小売店で販売されるような商品に対しては義務が発生しないということになります。

食品に対するSDSの必要性

それでは食品に対するSDS交付義務はどのように解釈すればよいでしょうか。

労働安全衛生法では、「一般消費者の生活の用に供される製品」について次のような記載があります。

一般消費者のもとに提供される段階の食品。ただし、水酸化ナトリウム、硫酸、酸化チタン等が含まれた食品添加物、エタノール等が含まれた酒類など、表示対象物が含まれているものであって、譲渡・提供先において、労働者がこれらの食品添加物を添加し、又は酒類を希釈するなど、労働者が表示対象物又は通知対象物にばく露するおそれのある作業が予定されるものは除く

つまり、扱っている食品が主に一般消費者の購入を想定してスーパーなどの店頭に並ぶものである場合は、SDS交付義務対象物質を含む製品だったとしても交付義務が除外されます。一方で、食品製造段階において使用される見込みのある食品添加物・保存料・香料などや、希釈される見込みのある酒類などは、労働者が提供先事業場で対象物質にばく露する恐れがあるためSDS交付義務対象物を基準値以上含む場合、交付が必要となります。

食品に対するSDS必要性の具体例

それでは、以上の解釈をもとに具体的な食品のSDSの必要性について例を示します。

醤油・味噌

醤油や味噌にはエタノールが含まれる場合があります。エタノールはSDS交付義務対象物質であり、個別に定められたSDS交付義務の基準値は0.1%です。これらは数値的にはSDS交付義務対象に該当しますが、醤油や味噌は最終製品に位置付けられ、主に消費者に提供することを目的とした製品としてそれ以上の加工は基本的に想定されないため、どのような販売形態でもSDSの交付は必要ありません。

酒類

酒類には基本的にエタノールが含まれます。ですが、酒類に関してもウイスキーや日本酒のような製品は基本的に消費者に提供することを目的とした最終製品に位置付けられるため、SDS交付義務はありません。ただし、その段階以前の高濃度原料を他事業者に提供する場合はSDSの交付が必要となります。

酢・マヨネーズ

酢やマヨネーズには酢酸が含まれます。酢酸はSDS交付義務対象物質であり、個別に定められたSDS交付義務の基準値は1%です。しかし、これらに関しても醤油や味噌と同様の理由でSDSを交付する必要はありません。

バニラエッセンス

バニラエッセンスにはエタノールが含まれます。こちらに関しては、スーパーなどで見かけるような一般消費者向けと考えられるサイズの製品を扱っている場合はSDSの交付義務はありません。しかし、業務用と考えられるような大きなサイズのバニラエッセンスを他の事業者に提供する場合はSDS交付が必要となります。

着色料

着色料にはエタノールなどのSDS交付義務対象物質が含まれる場合があります。扱っている製品に含まれる物質がSDS交付義務対象かは個別で確認をするようにしましょう。こちらに関しては、バニラエッセンスと同様一般向けと考えられるサイズのものは対象外となりますが、業務用と考えられるサイズのものに関しては、対象物質を基準値以上含んでいた場合交付が必要になります。

ベーキングパウダー(食品添加物)

ベーキングパウダーには硫酸アルミニウムカリウムなどが含まれている場合があります。この成分は一般的にミョウバンとして知られているもので、SDS交付義務対象物質となります。こちらに関しても、一般向けと考えられるものは対象外となりますが、業務用と考えられるのものに関しては、対象物質を基準値以上含んでいた場合交付が必要になります。

ベーキングパウダーや着色料などのいわゆる食品添加物にはSDS交付義務対象物質が含まれている可能性が大いにありますので、一度自社の製品の成分をしっかりと確認してみるのがよいでしょう。

SDSを簡単に作成する方法

SDS交付義務対象の物質を自社で扱っていることが判明した場合、法令適合のためすぐに対応を行わなければなりません。

労働安全衛生法の改正などにより対象物質は拡大しています。今後もすでに対象物質の追加が予定されているため、遺漏ないよう定期的に確認をするようにしましょう。

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