更新:2026.03.30スマートSDSメディア編集部

2026年3月25日(水)に開催された【化学品商社のSDS業務はここまで効率化できる】では、化学品を取り扱う卸売企業として株式会社KGC様・株式会社オベロン様からSDS担当者として山﨑様・武田様をゲストに迎え、「スマートSDSメイク」の導入によってどのように業務が変化したのかを対談形式でお届けしました。
本対談では、これまで抱えていたSDS業務の課題から、導入後に実現した現場のリアルな運用フローまで、実務担当者だからこそ語れる“生の声”を紹介。業務改善のヒントとなる実践的なエピソードが詰まった内容となっています。
登壇者
坂本: 今日は、スマートSDSをご導入・ご利用いただいているKGC様・オベロン様から、武田さんと山﨑さんにお越しいただきました。今、実は3人とも同じ空間にいて、当社の会議室にいるんですけれども、カジュアルに話し合いができればと思いますので、よろしくお願いします。
坂本: まず、御社グループの構成について、ご説明いただいてもよろしいですか?
武田: そうですね。KGCというグループ企業がございまして、そこが統括本部になっているので、その傘下に私が所属するオベロンを含め、6社の事業会社があって、主にエンジンオイルですとか、添加剤だとか、いろんな自動車関係の用品が多いですね。そういうものを開発して、製造は外部委託して、仕入れて卸売していくというビジネスモデルが多いですかね。基本的には取引先としては自動車業界が多い。ほぼ自動車業界ですね。
坂本: 最初から自動車業界がメインだったんですか?
山崎: エンジンオイルの卸業から始まっています。海外の輸入メーカーさんのオイルを仕入れて国内で卸すという成り立ちです。
坂本: ビジネスモデルとしては大きく2パターンあるとお聞きしています。
武田: そうですね、2パターンあって、一つはプライベートブランド(PB)での自社ブランドであったり、OEMとして製造委託してその名前で供給を受けるというビジネスと、もう一つはナショナルブランド品をそのままの名前で購入して自社が販売者として流通させるというビジネスです。ただ輸入品の場合には英語と日本語の問題が起こるので、SDSについてはゼロから作らないといけないですし、ラベルなんかもゼロから作らないといけないので、ナショナルブランドであっても手間がかかりますよね。
坂本: SDSという文脈でいくと、PBビジネスの方は、OEM先にSDSを作ってもらって、それを受領してという感じになりますかね。
武田: そうです。ほぼそうです。ベースはこのOEM先にSDSを作ってもらって、それを受領して、そこに手を加えてという感じになります。
武田: 日本のサプライヤーの場合には、当然日本の法令を意識したもので作ってくれますから、あとは(法令施 行と記載タイミングの)タイムラグの確認になるんですけど、海外のものはやっぱりそうはいかないので、結構ゼロからみたいな感じになっちゃいますよね。成分確認から入るとかですね、その辺の難易度がありますよね。
坂本: 今日まさにそこ、海外品の調達後の対応というのが一つのテーマになりますので、後半で深掘っていければと思います。それでは、お二人が社内でどういった役割を担っておられるのかを、簡単にお聞きできますでしょうか。
武田: 私はオベロンという事業会社で品質保証を担当していて、このSDSですとか、その他いろいろなクレーム対応ですとか、あと製品開発の方もいろいろ主導でやったりですね。以前はなかなかそれに当たる部門がなくて、そういう仕事はあったんですけれども、数年前に手を挙げて、こういうこと(SDS業務)をしっかりやろうと。SDSを各社がバラバラにやっているんじゃなくて、グループとして組織だってできるようにしようということで、だいぶいろいろ実施してきて、ようやくいろんなことができるようになってきたかなという感じです。
山﨑: 株式会社KGC品質保証部の山﨑と申します。実は2年前に別のグループ会社の別の部門にいたんですけど、グループのトップから「SDSをちゃんとやれ」というのが始まりで、今のポジションになりました。
山﨑: 今まで誰がやっていたかというと、グループ各社で各々の 品質管理の方々がそれぞれ担っていました。昨今法令がいっぱい変わっていく中で、自律的な管理という方向に動いていく中で、SDSを見直していくところで、グループとしてしっかり横串を通してSDSをやっていこうということになりまして。化学品を扱っている主に3社の品質管理担当といろんな情報や法令の共有、グループとしてSDSの取り扱いや顧客への提供の品質を考えていく、そういう形になっています。
坂本: 2年前ということは、ちょうど自律的管理が全面施行されたあたりですよね。
山﨑: まさにその時にすごい危機感を覚えて、社長がそういう問題意識を持って、我々2人を中心にやってくれということになって、2人で管理セミナーに行ったりですね、いろいろ調べて正式にチームを立ち上げて。間に合って良かったと思いますよね。あれがきっかけになりました。
坂本: 商社という立場からそこに危機感を持つというのは、なかなかすごいなと思いまして。メーカーがやるもんでしょという解釈もできなくはない中で、そこをやっていくべきなんだというのはどこから来たんでしょうか?
武田: ある種直感じゃないんですかね。生き残っていくために。各社がそれぞれやってたらバラバラになってしまうから、しっかり横串を通してくれという、社長のすごい意欲を感じましたけれどもね。
武田: 実践してみると、調べてみると、「これは確かに大変だな」と。正直今でもこの先どうなってくるのかな、と思うところはありますけど、本当にどうなるんだって、わかんなくてですね……。
坂本: 業務課題というところで、どういった業務をされていたのか、どのあたりを特に効率化・改善する必要があったのかをお聞きしていければと思います。
山﨑: 私が2年前にSDSをやれと言われた中で、まず何をやるべきか調べていったところ、SDSのことについても、そこからいろいろと勉強しだしました。まず、SDSを我々は作るわけじゃない。サプライヤーさんやOEMの製造委託先からもらったものを顧客に提供していく立場であって、じゃあそのSDSがきちんと法令に準拠したSDSになっているのか、抜け漏れがないのか、というところをまず調べていこうというところから取り掛かりました。
山﨑: 入手したSDSに書かれている成分をCAS番号を拾いながら、それらをNITE CHRIPで検索して該当法令をチェックしていくと。その結果が入手したSDSの15項にきちんと記載されているのかされていないのかというのを、1製品 ずつSDSを全てチェックしていたという作業から始まりました。
坂本: 実際にその業務をされていく中で、どうでしたか?
山﨑: 2024年、自律的な管理に移行していく過渡期だったので、我々がその時点で持っていたSDSは、以前の法令に対応しているものが多かった。2024年4月以降、物質が新しく増えたり、皮膚等障害やがん原性など、15項に書かないといけないところが、まだ書かれていない時代のSDSだったんです。
山﨑: 以前からわかっていたものは、「2024年4月から施行」と書かれているサプライヤーさんのSDSもあるんですけど、書かれていないものがあったりするので、その辺の抜け漏れはそこからチェックをしなきゃいけないよねということで。リスト化して、抜けているものに関してはサプライヤーさんに「この物質はこの法規制に該当するので書くべきじゃないですか」というやり取りをして、訂正してもらうとか改訂してもらうとかということに取り組んだというのが最初です。
坂本: 成分が1個2個であればまだやりようがあると思いますが、成分数はどれくらいのボリュームでしたか?
山﨑: 基本的に混合物として取り扱っている製品ですので、1製品にいくつもの成分が含まれています。一旦はSDSに書かれている成分を全て手作業でリスト化して、CAS番号でNITE CHRIPでチェックという流れでした。 なかなかな工数がかかるという……。
坂本: それをお二人でやられたのでしょうか?
武田: 何社かの分は我々二人で、それ以外のところもあるので、そこは他にも入ったりしたんですけど、まあ基本的には我々が中心でやっていました。
武田: 今回の規制追加物質がどれか、がん原性はこれだ、皮膚障害はこれだ、PRTRはこれだって、そのクロスチェックだけで本当に苦しかったというか。しかもそれを今度サプライヤーさんにフィードバックしなきゃいけないですからね。「これじゃないですか」という指摘に対して、サプライヤーさんが素直に「そうですね」というのはいいんですけど、必ずしも全てがそういう反応ではない。
武田: 例えばエタノールは飲料になる場合では規制該当するんですけれども、通常の工業利用であれば除外でいいとかね、細かくコミュニケーションを取る必要があった。
武田: 我々が書いてしまう手もありますけど、説明して「こういう理由であればなるべく揃えたいので、書いていただけませんか」とお願いするんですね。そんな中、「変更は1年間猶予がありますよね」とサプライヤーさんに言われると、「いや、それはそうなんですけど...」というのは正直ありました。
坂本: 御社からすると一応その日に確認をして最新法令を把握しておられて、サプライヤーさん側は「うちは1年猶予があるんだ」って言われると、最新版があることを知っておきながら最新版の法令が反映されていないって、ちょっと気持ち悪いというか、難しいところですよね。
武田: まあよくないですよね。アンバランスというかね。
坂本: 特に調べるのが大変だった法律はありましたか?
武田: 一番気をつけていたのはがん原性物質ですかね。見落としてた時に「すいませんでした」じゃ済まないので、そこは万が一にもしてはいけないかなって。皮膚障害もそうです。最近特に追加が多いですね。作業する方にとっては、実はそこが一番大事で、記録を取らなければいけないとか、ちゃんと手袋をしましょうとか、そういった大事な部分に関してしっかりした情報を出すという責任も大きいと思います。
坂本: さらに令和6年、令和7年、令和8年とどんどん表示すべき物質が増えていく、もうこれは限界だとシステムを探さざるをえなかった、ということですよね。
武田: そうです。さすがに手ではもうできないな、と。
坂本: 本格的に動き始めてから約1年ほどで、当社にお問い合わせをいただいたんですね。
武田: 1年ぐらい経って、あの手作業の状態を山﨑とやっていて、大変だったって思っていて、1年分の苦労の末に、さすがに手ではもうできないなということで、いろんなところを調べながら御社にたどり着いたというか。
坂本: 最初のウェブ面談でも、非常に困っている感じがすごく伝わってきた記憶があります(笑)。では、システム導入にあたって、どのような観点で比較・検討されたのかをお聞きできますか?
山﨑: グループでシステムを導入していこうという方向性になった時に、いろんなシステムを調べる中で、化学品を扱う3社が集まって、各社のやりたいこと・システムに求める機能を出し合いました。そこで優先順位を絞って、この機能があるものを選択しようということで、大きく3つの課題が浮かび上がりました。
山﨑: 1つ目は管理・データ化の問題です。これまで各社、外部の共有フォルダを使っていたりとか、各人のパソコンの中にあったりとか、SDSがExcelだったりWordだったりPDFだったりとまちまちで、かなり全体で考えていくと非常に煩雑な状況でした。
山 﨑: 2つ目は、昨今の法改正に伴っていろんな法令への対応をしていかなきゃいけない現状を踏まえると、人力でSDSが法令にきちんと対応しているかを確認していくのはもうちょっと限界だよね、という法令確認の問題。
山﨑: 3つ目が自社製品のSDSの書式の標準化です。同じシリーズの製品でも製造委託先さんが複数に分かれている場合、製造委託先さんによってSDSの書式がちょっと違ったりする。1個項の会社名と住所だけを変えると、中身がちょっとバラバラになってしまう。
坂本: 確かに、項目も微妙に違ったり、フォントも微妙に違ったりとか。
武田: 本当に項目ごとに違って、見た目が同じ製品シリーズでもSDSの見た目がバラバラ。書いてあることは正しいんでしょうけど、SDSとしての品質もそうですし、ブランディングの観点でもちょっと格好がつきづらいみたいな感じもあるんですよね。
武田: さらにPDFでもらったものを書き換えするというのも、実務的な意味で難しくて。ひたすら打ち込むという作業になるんですけど、PDFによっては文字をコピーできる場合もありますけど、写真画像で送ってきている方もいるので、そうやって掴めないと、もうしょうがない、打ち込むしかない。
武田: 海外品の場合には英語から訳すという作業まで入るから、絶望的な気持ちになるんですけど(笑)。
坂本: そこをAIを使って、後で自分の考える仕事に集中できるというのが、大きなメリットですよね。では、最終的にスマートSDSに決めていただいた決め手はどこでしたか?
山﨑: 各社さんの機能を色々と調べていく中で、法令確認に特化したものであるとか、SDSの作成に特化したものであるとかに傾向しているものが多かったんですが、ズバリスマートSDSさんに関しては、いろんな機能が含まれていつつ、SDSの標準化がしっかりできるというのが、我々の最終的な決め手の一つになっています。スマートSDS自体でSDSを作成できるから標準化ができる、という点でオールインワンになっていたのが、各グループ各社の要望をうまく合致したという感じでした。
坂本: ここからは私の方で、実際にお使いいただいている機能のデモをご説明します。
坂本: スマートSDSメイクでは、商社の皆様には基本的に「取り込む」機能をメインで使っていただいています。国内品のサプライヤーSDSを取り込むもの、海外品のSDSを取り込むもの、どちらも対応しています 。

坂本: PDFをアップロードしていただくと、約1分ほどでAIがPDFの情報をデータ化します。特定の項だけでなく、基本的に全ての項の情報をデジタル化するようにしています。

坂本: 取り込んだ後に「計算する」というボタンを押していただくと、区分の提案という機能が動きます。サプライヤーが付与している区分と、最新のNITE CHRIPの情報・計算ロジックを適用した結果を並べて確認できます。例えば元の区分4が「区分に該当しない」になったり、逆に区分2が「区分1ではないか」という提案をしてくれるような機能があります。

坂本: ここはAIがどうこうというよりかは、取引先に対してしっかり納得感を持って説明できることが大事だと思いますので、勝手に書き換えしてしまうのではなく、お客様が選べるような仕様にしています。
坂本: 法令情報についても、成分情報を基に最新の法令がここで挿入されるようになっておりまして、例えば元のPDFには令和6年までの情報しかなかったとしても、「計算する」ボタンを押すことによって、エチルベンゼンが10%以上含まれているならがん原性に該当するといった情報がしっかり入るような形になっています。

坂本: もう一つ、英語のSDSについても同様の機能がございます。英日翻訳という機能でして、英語のPDFをアップロードすると、英語の情報をマッピングして「日本語に翻訳」というボタンを押すだけで翻訳がスタートします。慣れてくると1件あたり本当に10分とか15分とかでできるような機能になっています。

坂本: 導入後の変化として、特に大きなものがあればお聞きしたいんですが。
武田: 一番大きかったのは、ちょうど昨年末に関連会社から「海外品SDSを大量に日本語にしてほしい」という要望があって、「いつまでに?」って聞いたら「来月」と言われて。2人で相談して「じゃあやってみよう」と。まだ本当にできるかは確信は持てなかったんですが、実際にスマートSDSメイクでやってみたところ、大変よくできていまして、本当に助かりましたよね。
武田: そこから先は、翻訳が自分のイメージと少し違った場合には自分で直すとか、そういう細かい調整はあったんですけど、一発目がちゃんとできたっていうのは、すごく大きくてですね。考える時間があって、納期に間に合って、最後調整して、書式も揃って、何十件がまとめてできた。スマートSDSメイクがなかったら絶望的だったと思います。
坂本: 何件くらいあったのでしょうか?
武田: 30件くらいでしたかね。全部英語でした。
坂本: NITEに分類が公開されている場合は、サプライヤーが付与している区分とNITEの分を比較しながら選択されている事業者様が多いかと思いますが、公開されていない場合はサプライヤーのものを信じるしかないケースが多いかと。実際、どんな風にされていらっしゃいましたか?
武田: 成分が分かる場合もあれば、分からない場合もあって、できるだけNITE CHRIPにあるものに我々としては持っていきたいんですけど、特定できないとかどうしてもない場合にはしょうがない。サプライヤーのものにあればそれを優先することになりますけど、難しいですよね。
武田: 見たような類似品で他社が厳しい区分をつけていたりすると、なぜこっちの方が同じようなものなのに緩いのかとか、いろんな疑問が相手から出てきて、説明がつかなくなっちゃいますね。
武田: これが一番悩ましいところで、多くの場合、先方も開示義務はないですから。それは分かったとして、まず「SDSには書かなくていい成分表という形でプロダクトシートを提出してくれ」と言って、いろんなことをやりながら、まず入手した上で、次にそれがCAS番号があるとかですね。やった上で次はそれが日本法令上どうだとか。
武田: サプライヤーとのやり取りはものすごく重要ですよね。そこで嘘ついてるわけじゃないので、言える範囲でこういうものなのかとか、情報を取っていく。
武田: 表示に違いが出てしまった場合は、社内を説得して、小さいボトルだと英文ラベルがついているんですけど、上に日本語ラベルを貼る形にして、SDSと一致したラベルにするというケースもありますね。その覚悟を決めてやらないと、結局自分たちが最終責任者になるわけで、自分たちが会社を守っていくのが大事かなと思います。
坂本: 基本的にはJISに沿った対応が求められます。国内でいうSDS3法、労働安全衛生法とPRTR法と毒物及び劇物取締法に沿っているものとなりますので、JISに沿うことが重要です。
坂本: 輸入SDSというのはその国の独自ルールみたいなものが含まれていますので、それをJISに即した形にするというのが、輸入をして最初に国内で流通させる人に定められている義務だというのが原則となります。
坂本: さらに、英語のSDSだと消防法の記載がないので、消防法の危険物区分なども追記して供給することが重要かなと思います。(詳しくは、海外SDSの翻訳についてをご覧ください。)
坂本: 本日は本当にリアルな課題をお聞きしながら、スマートSDSの活用事例まで詳しくご紹介いただきまして、ありがとうございました。このツールで全ての化学物質管理が完璧にできるというわけでは当然なくて、皆様の意見を真摯にお聞きしてどんどん製品を良くしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。
武田: ありがとうございました。
山﨑: ありがとうございました。
本記事は、スマートSDS主催のウェビナー(2026年)の収録をもとに再構成しています。