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引火性液体とは?GHS分類・消防法・航空法ごとの定義や違い、指定数量 との関係性についてもわかりやすく解説!

更新:2026.03.24スマートSDSメディア編集部

引火性液体とは?GHS分類・消防法・航空法ごとの定義や違い、指定数量 との関係性についてもわかりやすく解説!の記事本文サムネイル

ガソリンやアルコール類、各種溶剤など、私たちの身近なところには多くの引火性液体が存在しています。これらは便利で欠かせない一方、取り扱いを誤れば火災や爆発といった重大事故につながる危険性があります。

本記事では、GHS分類、消防法、航空法における引火性液体について、基礎から整理して解説します。あわせて、GHS分類の引火性液体と消防法における第四類引火性液体との違いや、危険物管理に欠かせない「指定数量」についてもわかりやすく説明します。

引火性液体の基本的な知識と法規制を理解することで、作業現場での安全管理や事故防止に役立てることができます。ぜひ、最後までご覧ください。

2026/03/25 ウェビナーバナー

引火性液体とは

一般的に、引火性液体とは、引火性をもつ液体の事を指します。

「引火性液体」という言葉は、SDS(安全データシート)のさまざまな項目で登場します。例えば、GHS区分、消防法における危険物分類、航空法などの分類において使用される用語です。本章では、それぞれの引火性液体の定義の違いや共通点について解説します。

GHS分類の場合

まず、GHS分類における「引火性液体」について解説します。

引火性液体は、GHS分類によって区分された物理化学的危険性の一つで、SDS第2項「危険有害性の要約」に記載があります。

国連GHSに基づくJIS規格で「引火点が93℃以下の液体」と定義されています。区分の判定には原則としてJIS Z 7252に規定された密閉式試験法(タグ密閉式、ペンスキーマルテンス密閉式など)による測定値を用います。。消防法に基づく測定では開放式試験が用いられる場合もあるため、両者の値が異なるケースがある点に注意が必要です。

GHS分類における引火性液体は、引火点と初留点を基準として、区分1〜4の危険性区分に分類されます(下図参照)。

事業者向け GHS 分類ガイダンスより

【引用】事業者向け GHS 分類ガイダンス (令和元年度改訂版(Ver. 2.1))より


さらに、引火性液体の区分1に該当する場合、SDS第2項には絵表示として「炎」のピクトグラムが示され、注意喚起語には「危険」が用いられます。「炎」の絵表示により、その物質が非常に燃えやすい性質を持つことを一目で把握することができます。

また、HコードやPコードには、安全対策や応急処置、保管、廃棄に関する情報が体系的に整理されています。例えば区分1の場合、危険有害性情報としては「H224:極めて引火性の高い液体および蒸気」が示されます(区分2はH225、区分3はH226など、区分ごとにHコードが異なります)。注意書きには「P242:火花を発生させない工具を使用すること。」といった具体的な対策が記載されています。

このように、引火性に関するリスクだけでなく、引火を防止するための具体的な取扱い方法についても分かりやすく示されています。

初留点とは

蒸留において、加熱された液体から最初の留出液が得られる時点の温度をいいます。GHS分類では引火点とともに引火性液体の区分判定に用いられる指標です。

消防法の場合

消防法上の危険物分類は、SDS第15項「適用法令」に記載されるほか、第9項「物理的及び化学的性質」の引火点情報とも密接に関連しています。本章では、消防法における引火性液体(第四類危険物)の分類基準について説明します。

消防法は、火災の予防や警戒、鎮圧を行い、国民の生命・身体・財産を火災から守ることを目的とした法律です。また、火災や地震などの災害による被害の軽減や、災害時の傷病者の適切な搬送を行うことで、社会の安全と秩序を維持し、公共の福祉の向上に寄与することを目指しています。

消防法における危険物は、第一類から第六類に分類されます(下図参照)。

そのうちの第四類が、引火性液体の性質を持つ区分になります。

消防法における引火性液体とは、液体のうち、政令で定められた試験において引火性を示すものをいいます。消防法施行令別表第一の注記に基づき、第3石油類・第4石油類・動植物油類については「1気圧において20℃で液状であるもの」に限定されると規定されています。

消防法令抜粋(消防法上の危険物の定義、試験方法など)より

【引用】総務省消防庁:消防法令抜粋(消防法上の危険物の定義、試験方法など)より

さらに、第四類引火性液体では、以下の7区分に分類されます。

  1. 特殊引火物[発火点が100℃以下または引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のもの] 

エ一テル、二硫化炭素、コロジオン、アセトアルデヒド、酸化プロピレン、ペンタンなど

  1. 第1石油類[引火点が21℃未満のもの]

アセトン、ガソリン、石油ベンジン、リグロイン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、石油エーテル、ヘキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、アクリロニトリル、エチルアミン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなど

  1. アルコール類[炭素数が1~3個の飽和1価アルコール(変性アルコールを含む)で、アルコール含有量が60重量%以上のもの。ただし、引火点および燃焼点がエチルアルコール60重量%水溶液の引火点および燃焼点を超えるものを除く]

メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなど

  1. 第2石油類[引火点が21℃以上70℃未満のもの]

灯油、軽油、クロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、キシレン、エチルセルソルブ、ギ酸、酢酸、テレピン油、しょうのう油など

  1. 第3石油類[引火点が70℃以上200℃未満のもの]

重油、クレオソート油、グリセリン、アニリン、ニトロベンゼン、エタノールアミン、エチレングリコール、クレゾールなど

  1. 第4石油類[引火点が200℃以上250℃未満のもの]

ギヤー油、シリンダー油、潤滑油、タービン油、マシン油、モーター油など

  1. 動植物油類[引火点が250℃未満のもの]

ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、落花生油、ナタネ油、ごま油、綿実油など

なお、引火性液体と混同しやすい概念として『指定可燃物』があります。

指定可燃物とは、消防法第9条の4に基づき、わら製品・木毛などの物品のうち、火災が発生した場合に燃焼の拡大が速やかに進むおそれがあるもの、または消火活動が著しく困難になるおそれがあるものとして政令で定められた物品をいいます。可燃性液状物品のうち引火性液体の除外条件(例:引火点が200℃以上かつ燃焼継続性がないなど)を満たすものが一定数量以上ある場合に該当します。

指定数量とは

消防法第9条の4では、「危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量」として指定数量が定められています(下図参照)。指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う場合は同法10条第1項に基づく厳しい規制(許可、設備基準等)が適用され、同法9条の4により指定数量未満の場合は市町村条例による規制対象となります。ガソリン(第1石油類・非水溶性)の指定数量は200L、エタノール(アルコール類)は400Lなど、品目ごとに数量が規定されています。この指定数量を基準に、貯蔵や取扱いの規模、必要な安全対策の内容が決まるため、危険物管理において非常に重要な概念となっています。

筆者が作成

航空法の場合

航空法は、航空機の航行の安全確保および航空輸送の適正な運営を目的とした法律です。

航空法における引火性液体の分類は、主に引火点を基準として定められており、大きく2つの考え方に分けられます。

まず、引火点が60℃以下の液体(密閉式引火点測定法)は、原則として引火性液体として扱われます。ただし、引火点が35℃を超え、かつ燃焼継続性がないと認められるものについては、引火点未満の温度で輸送される場合に限り、この扱いから除外されることがあります。

一方で、引火点が60℃を超える液体についても、注意が必要です。これらの物質は、引火点未満の温度で輸送される場合には引火性液体として扱われませんが、引火点以上の温度での輸送は原則として禁止されています。これらの物質は、引火点未満の温度で輸送される場合には問題ありませんが、引火点以上の温度での輸送は禁止されています。

このように航空法では、引火点そのものだけでなく、「輸送時の温度条件」によって取り扱いが決まる点が特徴であり、同じ物質であっても輸送条件によって規制内容が異なることに留意する必要があります。

GHS分類 引火性液体と消防法 第四類引火性液体の違い

本章では、引火性を有する液体であるGHS分類の「引火性液体」と、消防法における「第四類危険物 引火性液体」を取り上げ、それぞれの違いについて比較しながら解説します。

試験方法

引火点の評価は、原則として密閉式試験による測定値に基づいて判断することが望ましいとされています。一方で、消防法に基づく測定では開放式試験が用いられる場合もあります。そのため、GHS分類において区分4の上限付近(引火点の境界付近)で評価を行う際には、試験方法の違いによる測定値の差異に十分注意する必要があります。

こうした違いを適切に判断するためにも、SDS第9項「物理的及び化学的性質」に記載する引火点の情報には、測定値だけでなく試験方法についても明記しましょう。

分類の目的

「GHSでは引火性液体に分類される一方で、消防法では指定可燃物(可燃性液状物品等)とされる」といったケースがあります。これは、それぞれの制度が想定している目的や取り扱いの前提が異なるためです。

GHSは、化学品の危険有害性を世界共通の基準で分類し、その情報をラベル表示やSDSによって伝達することを目的としています。

一方、消防法の目的については前述のとおり、火災予防・警戒・鎮圧を通じて国民の安全を守ることにあります。

このように、GHSは「危険有害性の情報伝達」を目的とした分類であるのに対し、消防法は「火災予防や被害軽減」を目的とした実務的な規制です。そのため、同じ物質であっても、評価の視点や取り扱いにおける着目点が異なります。

条件

また、前章で述べたとおり、それぞれ引火性液体だと定義される引火点に違いがあります。

GHS分類では「引火点が93℃以下の液体」、消防法では「液体のうち、政令で定められた試験において引火性を示すもの」を指します。

例えば、エチレングリコールのSDSを見てみると、SDS第2項(物理化学的危険性)には引火性液体の区分記載がありません。

エチレングリコールの引火点は111℃(密閉式、出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト掲載SDS)であり、GHS分類の引火性液体の上限である93℃を超えているため、GHS分類では引火性液体に該当しません。一方、消防法では引火性を示すものとして第四類引火性液体(第3石油類)に該当します。

職場のあんぜんサイトより
職場のあんぜんサイトより

【引用】厚生労働省:職場のあんぜんサイトより

まとめ

本記事では、GHS分類・消防法・航空法それぞれにおける引火性液体の定義と分類基準、および各制度の目的の違いについて解説しました。

引火性液体は、便利で身近な一方で、火災や爆発など重大なリスクをはらんでいます。

どの引火性液体に該当するかを把握し、それによって対応がどう変わるかを認識することは、安全管理やリスクアセスメントの精度を高めるうえで重要です。

また、指定数量などの法規制をあわせて理解することで、作業現場での適切な安全対策や管理方法を選択でき、事故や火災・爆発被害の防止につながります。

引火性液体を扱う際には、分類や法令の背景を正しく理解し、日常業務に即した安全管理を徹底しましょう。






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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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