リスクアセスメント

CREATE-SIMPLEとは?厚生労働省のマニュアルをもとに、使い方やリスクレベルの算出方法をわかりやすく解説!

更新:2026.03.31スマートSDSメディア編集部

CREATE-SIMPLEとは?厚生労働省のマニュアルをもとに、使い方やリスクレベルの算出方法をわかりやすく解説!の記事本文サムネイル

CREATE-SIMPLEは化学物質の危険性・有害性を評価するリスクアセスメント支援ツールの一つです。リスクアセスメントを実施する方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。本記事では、CREATE-SIMPLEの基本的な考え方から、混合物やCAS番号がない場合の対処法、リスクレベルの設定基準までを徹底解説します。さらに、CREATE-SIMPLEを利用するうえで気をつけておきたいポイントにも触れ、より適切なリスクアセスメントを行うための考え方についても分かりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

2026/03/25 ウェビナーバナー

CREATE-SIMPLE

リスクアセスメントとは

まず、CREATE-SIMPLEの話に入る前に、そもそもリスクアセスメントがなにか、というところから始めていきます。リスクアセスメントは、事業場の危険性や有害性を特定し、特定された危険性・有害性に基づくリスクを見積り、リスク低減措置(リスクを減らす対策)を行うまでの一連の流れのことをいいます。機械設備やデータのセキュリティ対策など、化学物質に限らずさまざまなリスクが対象となります。化学物質に関しては、労働安全衛生法においてSDS交付義務の対象となる物質を取り扱う事業場に対し、リスクアセスメントの実施が義務付けられています。一方、義務対象外の物質についても、労働災害防止の観点から、可能な限りリスクアセスメントを実施することが望ましいとされています。

詳しくは、スマートSDSジャーナル-リスクアセスメントで、リスクアセスメントの義務から、誰がいつどうやって実施するかまで、網羅的にまとめてあるのでぜひご覧ください。

リスクアセスメントツール一覧

化学物質のリスクアセスメントを支援するため、国内外の研究機関がさまざまなリスクアセスメント支援ツールを開発・公開しています。本記事では厚生労働省が公開している7つのツールを紹介します。

以下ツールごとの特色や対象などをまとめておりますので、内容を理解したうえで適切なツールを選択し、リスクの見積もりにお役立て下さい。なお、各ツールでは主にリスクを見積もることを支援しているため、ツールでリスクを見積もった後は見積もった結果に基づいてリスク低減措置の内容を検討し、判断材料として使用してください。

厚生労働省:リスクアセスメント支援ツール をもとに筆者が作成
厚生労働省:リスクアセスメント支援ツール をもとに筆者が作成

取り扱う製品の種類や測定方法、事業場の規模によって、適切なツールは異なります。事業場に適したツールを正しく選択することが、より良いリスクアセスメントにもつながります。

CREATE-SIMPLEとは

CREATE-SIMPLEは、Chemical Risk Easy Assessment Tool, Edited for Service Industry and MultiPLE workplacesの略です。業種を問わず幅広い事業者が使用可能な簡易なリスクアセスメント支援ツールのひとつで、2018年3月に初版が公開されて以降、改定を重ね、2026年3月に最新版であるver.3.2が公開されています(2026年3月現在)。バージョンアップが随時行われるため、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト:化学物質のリスクアセスメント実施支援」で最新版を確認のうえ使用してください。

特徴

CREATE-SIMPLEは、選択肢に回答するだけで簡単にリスクを見積もることができる点が大きな特徴です。また、どの項目を改善すればリスクが低減できるのかが分かりやすく示されるため、具体的な対策につなげやすい点も評価されています。

さらに、実際のばく露濃度を測定しなくてもリスクアセスメントの結果を把握できる点も、現場で活用しやすい理由の一つです。なお、「ばく露」とは、化学物質が吸入・皮膚接触・経口摂取などの経路を通じて作業者が化学物質にさらされることを指します。

気をつけておきたいポイント

一方で、CREATE-SIMPLEを活用する際には、いくつか気をつけておきたいポイントもあります。

まず、何らかの要因によって実際のばく露が大きくなる作業については、リスクを過小に見積もってしまう可能性があります。例えば、密閉空間での作業や局所排気装置が十分に機能していない状況、取扱量が通常より大幅に多い作業など、ツールの入力条件の前提を大きく超えるような状況では、実際のばく露がツールの推定値を上回り、リスクを過小に見積もる可能性があります。

また、危険性の評価については、作業プロセス自体は対象外とされており、化学物質が本来持つ潜在的な危険性に気づくことを主な目的としています。そのため、プロセスに起因するリスクも含めて評価したい場合には、労働安全衛生総合研究所が提供する「リスクアセスメント等実施支援ツール」などを活用してみてください。

CREATE-SIMPLEの手順

CREATE-SIMPLEは、リスクアセスメントツールの一つであると説明してきましたが、有害性か危険性、どちらのリスクを見積もるかによっても担う役割が異なります。

化学物質の有害性に関するリスクアセスメントは、①初期調査(ばく露の推定)②リスクの見積もり③実測によるばく露濃度の確認④必要に応じたリスク低減措置の実施、という流れで進めます。

このうち、CREATE-SIMPLEは初期調査における「数理モデルを活用したばく露の推定」に活用できるツールです。なお、数理モデルとは、取扱量・換気条件・作業時間などの条件を数式に当てはめることで、実際に濃度を測定しなくても作業者のばく露濃度を推計する手法です。

一方で、危険性では、CREATE-SIMPLEによって簡易リスクアセスメントを実施し、重大な危険性(リスク)があるか、より明確に危険性を把握する必要があるか、危険性への対応の優先順位をつける必要があるか、などを調査することで、化学物質に何らかの危険性があることに気付くためのツールとして活用することができます。

それぞれのCREATE-SIMPLEの位置付けを認識したうえで、次章で説明するCREATE-SIMPLEの使い方について併せて確認していきましょう。

ツールの起動

はじめに、CREATE-SIMPLEのExcelファイルを開きます。トップにある注意事項などを確認し、リスクアセスメントシートへと切り替えます。

CREATE-SIMPLEより

5つのタブの概要は以下の通りです。

  • トップ

正常に開けなかった場合の対応や各シートの説明がまとめられてます。使用言語(日・英)も選択可能です。

  • リスクアセスメントシート

リスクアセスメントを実施するためのシートです。

  • 実施レポート

リスクアセスメントの実施レポートが表示されるシートです。このシートを用いてリスク低 減対策を検討することができます。実施レポートを印刷や電子メール等で従業員に周知することも可能です。 

  • 結果一覧

リスクアセスメントを実施した結果の一覧が表示されます。このシートから各シートに過去の実施結果を呼び出すことも可能です。 

  • 製品DB

事業場の取扱製品のデータベースです。事業場内の取扱製品・化学物質の整理に活用することができます。データベースに登録した内容をリスクアセスメントシートから呼び出すことができます。

STEP1 リスクアセスメント対象物の基本情報の入力

CREATE-SIMPLEでは、STEPに沿ってリスクアセスメントを開始します。

CREATE-SIMPLEより

STEP1では、リスクアセスメント対象作業・製品の基本情報を入力します。SDS(安全データシート)第9項(物理的および化学的性質)などの情報を元に製品名称の入力や、リスクアセスメント対象、性状、リスクアセスメントを実施する物質数の選択を行います。なお、右上のNoは既に同じ番号の結果が結果一覧にある場合には、上書きされるため注意しましょう。

STEP2 成分に関する情報の入力

CREATE-SIMPLEより

続いて、STEP2では、SDS第3項(組成・成分情報)の情報をもとに、成分情報を入力します。

リスクアセスメントしたい対象物質のCAS番号を記載し、【CAS RNで検索】をクリックすると物質名等が自動入力されます。物質ごとに含有率を設定し、揮発性/飛散性の選択も行います。また、【CAS RNで検索】を使用せずに、ばく露限界値及びGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)分類情報等の情報を手動で入力することも可能です。

CAS番号

CAS番号(CAS RN®)とは、化学物質ごとに固有に付与された国際的な識別番号です。SDSの第3項(組成・成分情報)に記載されており、この番号を使うことで物質を正確に特定できます。

STEP3 物質情報、作業条件等の入力

CREATE-SIMPLEより

STEP3では、対象物質を実際に取り扱う際の作業情報について入力します。

取扱量や、換気条件、1日あたりの化学物質の作業時間(ばく露時間)など、リスクレベルを判断するためにQ1〜Q7までの質問に答えます。

換気条件の判断基準や局所排気装置の制御風速の確認方法については、厚生労働省が公開する「クリエイト・シンプルを用いた 化学物質のリスクアセスメントマニュアル」をご確認ください。

STEP4 リスクの判定

CREATE-SIMPLEより

STEP1〜3の入力完了後、【リスクを判定】をクリックすると、ばく露限界値(またはGHS区分情報に基づく管理目標濃度)・推定ばく露濃度・リスクレベルの判定結果が算出されます。リスク判定された内容を確認したのち、【実施レポートに出力】をクリックし、STEP5のリスク低減対策の検討に進みます。

ばく露限界値(管理目標濃度)よりも、推定ばく露濃度が小さい場合には、リスクが小さいと判定されます。 ばく露限界値(管理目標濃度)>推定ばく露濃度 となるようにリスク低減対策を検討しましょう。

リスクレベルとは

CREATE-SIMPLEでは、GHS区分の項目ごとに、区分と取扱量に基づき決定した暫定RL(暫定リスクレベル)を付与します。

厚生労働省:CREATE-SIMPLE の設計基準より

さらに、取扱状況(着火源の有無、換気状況など、危害 の発生頻度)を踏まえて暫定RLを下記の表に当てはめて算出したものが、リスクレベルになります。

厚生労働省:CREATE-SIMPLE の設計基準より

管理目標濃度とは

管理目標濃度は、ばく露限界値(濃度基準値・許容濃度)が得られない化学物質について、GHS分類情報をもとに導出されるばく露の管理目標となる濃度です。CREATE-SIMPLEでは、この管理目標濃度を用いてリスクを評価します。なお、ばく露限界値は義務を伴う基準ではなく、リスク判断の目安となる指標値です。法令上の義務が伴う基準としては、厚生労働大臣が定める「濃度基準値」があります。

厚生労働省:国によるGHS分類等のプロセス整理より
厚生労働省:国によるGHS分類等のプロセス整理より

【引用】厚生労働省:国によるGHS分類等のプロセス整理より


STEP 5 リスク低減措置の内容検討支援

STEP4で【実施レポートに出力】をクリックした後、実施レポートタブを開くと、各質問項目やばく露濃度、経皮吸収量の推定値、リスクレベルなどが転記された状態になります。

CREATE-SIMPLEより
CREATE-SIMPLEより

さらに、Q1〜Q7の選択肢を変更し、【再度リスクを判定】をクリックすることによって、リスク低減対策後の結果も表示されます。リスクレベル欄には、現状と対策後が表形式で並べて示されるため、それらを比較することで、検討した対策によりリスクが低減することを確認します。

他にも、リスク低減対策後の結果が表示されると同時に、化学防護手袋の選定機能として、手袋材料の耐透過性(化学物質が手袋素材を分子レベルで透過・通過する現象への耐性。浸透とは異なる概念)が表示されるなどの新機能も搭載されました。化学防護手袋選定の考え方や、耐透過性情報がない場合の対処法などはクリエイト・シンプルを用いた 化学物質のリスクアセスメントマニュアルにて詳しく解説されていますので、ぜひご参照ください。

CREATE-SIMPLEでのリスクアセスメントは以上になります。



耐透過性

耐透過性とは、化学物質が手袋素材の表面から吸収され、分子レベルで内部を拡散し、裏面へ抜ける現象(透過)への耐性を指します。なお、透過とは異なる概念として「浸透(penetration)」があり、こちらは化学物質が手袋の多孔質材料、縫合部、ピンホールなどの不完全な部分を非分子レベルで通過する現象を指します。

結果の閲覧と出力

結果一覧のタブを開きます。

CREATE-SIMPLEより

ここでは、過去に実施したリスクアセスメント結果を確認することができます。リストにある出力したいリスクアセスメント結果を選択すると、「リスクアセスメントシート」または「実施レポート」に出力できます。(各シートからもリスクアセスメント結果を呼び出すことが可能です。)また、複数成分でリスクアセスメントを実施した場合には、各リスクアセスメントに対して、成分数だけ行が作成されます。

よくある事例

混合物の場合

リスクアセスメントを実施する際は、まずSDSから混合物に含まれる成分を確認し、構成成分をすべて入力したうえで評価を行います。混合物全体を適切に評価するためには、個々の成分に基づいたリスクを把握します。

例えば、トリメチルベンゼン、キシレン、ノナンを主成分とするミネラルスピリットを例に考えてみましょう。まず、それぞれの物質について個別にリスク判定を実施します。その結果が「Ⅲ&S」(吸入ばく露&皮膚や眼に対する有害性)「Ⅰ&S」「Ⅰ&S」と判定された場合、混合物全体のリスクレベルは、最も高いリスクレベルである「Ⅲ&S」を基準として捉え、リスク低減対策を検討します。

このように、混合物の評価では、構成成分の中で最も高いリスクレベルを基準に管理を行うことが基本的な考え方となります。

なお、混合物としてのGHS分類情報がSDSに記載されている場合には、そのGHS分類を手動で入力することで、混合物単位でのリスクアセスメントを実施することも可能です。用途や入手可能な情報に応じて、適切な評価方法を選択しましょう。

CAS番号がない場合

リスクアセスメントには以下の事前準備が必要です。

  • 2項のGHS分類情報
  • 3項のCAS番号、含有率
  • 8項のばく露限界値 (記載がない場合もある)
  • 9項の主な物理化学的物性値 (記載がない場合もある)

その中でもCAS番号は正しい危険有害性を把握するうえで欠かせない情報になります。

まず、正確な情報を把握するために、製品の納入元であるサプライヤー(供給者)に直接問い合わせ、正確な情報を確認してください。

それでも該当する化学物質が特定できない場合には、物質名からCAS番号を確認する方法があります。代表的な手段として、NITE-CHRIP(独立行政法人製品評価技術基盤機構〔NITE〕が提供する化学物質情報提供システム)などのデータベースを活用することが挙げられます。NITE-CHRIPでは物質名を検索することでCAS番号を調べることができます。

スマートSDSチェックでできること

ここまで、CREATE-SIMPLEの具体的な概要について解説してきました。CREATE-SIMPLEは、STEPに沿って進められる一方で、入力項目の判断や継続的な管理に難しさを感じる場合もあります。

そこで「スマートSDSチェック」では、CREATE-SIMPLEと連携したリスクアセスメントサービスをご提案しています。

CREATE-SIMPLEで実施されたリスクアセスメントの管理ツール機能を兼ね備えており、絞り込み検索で目当てのリスクアセスメントを瞬時に見つけられるほか、誰がいつどこで実施したかを一目で確認することができます。

さらに、SDSに関する法令要件が漏れなく遵守されているか、作成されてから期間が空きすぎてないか、といったSDS管理機能も搭載しており、そこで管理されたSDSをリスクアセスメントと紐づけることも可能です。

スマートSDSチェックで入力されたSDSの情報を元にAIがCREATE-SIMPLEへ自動で反映し、SDS改訂によるリスクアセスメントへの影響を提案することで、作業の効率化をさらに加速させます。


まとめ

CREATE-SIMPLEは、直感的に扱いやすく、化学物質のリスクアセスメントを実務レベルで支援する有効なツールの一つです。
混合物への対応や情報不足時の判断など、実務上留意すべき点はあるものの、評価の前提や考え方を理解したうえで活用することで、より適切なリスクアセスメントの実施につながります。

また、リスクアセスメント支援ツールはCREATE-SIMPLE以外にも複数存在しており、それぞれに特徴や適した活用場面があります。各ツールの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが、安全管理の実効性を高めるうえで重要です。

さらに、CREATE-SIMPLEをより効率的かつ直感的に活用できるよう、スマートSDSチェックのような支援システムの導入も考えられます。 作業時間の短縮だけでなく、これまで属人化しがちだった業務をチームで分担できる環境を整備し、業務効率の向上をサポートできれば嬉しいです。

お問い合わせフォーム
スマー��トSDSチェック オンラインデモCTA画像
執筆者「スマートSDSメディア編集部」紹介アイコン
執筆者 スマートSDSメディア編集部
スマートSDS JournalはSDS作成・管理クラウド「スマートSDS」が運営するメディアです。SDSに関する法改正やお役立ち情報を発信しています。
2026/03/25 ウェビナーバナー
スマートSDSチェック オンラインデモCTA画像
新着記事
New Articles
オンラインデモを体験