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消防法 危険物の指定数量とは?一覧・計算方法とSDS作成時の注意点

更新:2026.02.26スマートSDSメディア編集部

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消防法の「指定数量」は、SDSを理解するうえで重要な概念です。
しかし実務では、

・指定数量以上=違法?
・倍数はなぜ計算する必要がある?
・GHS区分で「引火性液体」なら自動的に危険物?

といった判断に迷う場面が少なくありません。

指定数量の理解が曖昧なまま記載すると、法令誤記、行政からの指摘、お客様からの混乱といったさまざまなリスクにつながります。

本記事では、指定数量の制度的な意味から倍数計算の考え方、指定可燃物との違い、さらにSDSのGHS第2項との関係まで整理し、「指定数量を理解し、自身で判断できる」状態を目指します。

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指定数量とは何か

指定数量の定義

指定数量とは、消防法(消防法についてはこちら)で定められた危険物(第1類~第6類に該当する物質)を一定量以上、同一の危険物施設(製造所・貯蔵所・取扱所)に保管する際に、危険物施設としての規制対象となるかどうか判定する基準量のことです。

対象となるのは、下記のような物質です。

  • 消防法上の「危険物」に該当する物質※液体、固体など形態は問わない
  • 消防法の適用が併存する可能性のあるガス

まず整理しておきたいポイントは次のとおりです。

  • 指定数量1以上 = 直ちに違法ではない
  • 指定数量以上になると、危険物施設として許可・届出などの手続きが施設類型ごとに必要
  • 指定数量未満でも、安全配慮義務がなくなるわけではない

つまり、指定数量は「違法ライン」ではなく、「規制の強度が変わる基準」です。

指定数量の倍数計算の仕方・考え方

なぜ倍数計算が必要なのか

危険物の保管量が指定数量を超えているかを判断するために、「倍数計算」を実施します。
危険物は単体ではなく、複数種類を同時に保管するケースが多いため、合算して規制対象かどうかを判断する必要があるのです。

消防法危険物は、性状により6類に分類されます。

危険物の区分(第1類~第6類)

類別

主な性状

第1類

酸化性固体

第2類

可燃性固体

第3類

自然発火性物質
及び禁水性物質

第4類

引火性液体

第5類

自己反応性物質

第6類

酸化性液体

【引用】総務省:消防法令抜粋

実務で扱うことが多いのは以下のような第4類(引火性液体)です。

第4類(引火性液体)の代表例
※類や品名によって指定数量は異なります。必ず該当類別で確認が必要です。

物質

指定数量

ガソリン

200L

灯油

1,000L

軽油

1,000L

【参考】化学物質と法規制研究所:危険物第4類 引火性液体

倍数計算の基本式

倍数 = 実際の貯蔵量 ÷ 指定数量

例)ガソリン300L保管(指定数量200L)
300 ÷ 200 = 1.5倍

この倍数は「指定数量に対する割合」、つまり規制区分を決めるための行政上の量的指標を示します。

実務でよく間違えるポイント

①複数の危険物を保管する際に別々に計算してしまう

【正】ガソリン0.5倍+灯油0.6倍
   → 合算1.1倍(危険物同士なので合算)

【誤】ガソリン0.5倍、灯油0.6倍と別々に判断
   →それぞれの危険物のみで判断し、「0.5倍、0.6倍だから非該当」とする

理由:危険物は「種類ごとに指定数量が異なる」ため、個別に判断してしまいがちです。しかし消防法では同一の製造所・貯蔵所・取扱所において複数の危険物を貯蔵・取扱う場合、指定数量の倍数を合算して判定するため、個別判断だけでは誤りになります。

② 指定可燃物を倍数に含めてしまう

【正】ガソリン0.8倍+合成樹脂類(指定可燃物)
   → 0.8倍のまま(指定可燃物は合算しない)

【誤】ガソリン0.8倍+合成樹脂類0.4倍
   → 合算1.2倍と計算する

理由:指定可燃物も「消防法で規制される」「大量保管で規制対象になる」という点が危険物と似ているため、同じ枠組みで倍数計算してしまうケースがあります。しかし指定可燃物は条例規制であり、危険物の指定数量計算には含めません

③ 区別されている危険物施設を同一事業所として合算して計算してしまう

【正】倉庫Aは0.6倍、倉庫Bは0.5倍
   → それぞれ1倍未満だから非該当と判断する

【誤】倉庫A 0.6倍+倉庫B 0.5倍
   →同一事業所内で保管するため、合算して1.1倍と判断する

理由:消防法における指定数量判定の単位は、同一の「製造所・貯蔵所・取扱所」ごとです。
つまり、同一敷地・同一会社・同一事業所であっても、危険物施設が区別されていれば合算しません

  1. GHS第2項とSDS第15項(消防法)の関係

SDS作成で最も混乱しやすいのが、GHS第2項とSDS第15項(消防法パート)の関係です。

「GHSで引火性液体だから、第4類危険物でしょ?」
と機械的に判断してしまうケースが、実務では少なくありません。

しかし、両者はそもそも制度目的が異なります。

制度の目的の違い

項目

目的

GHS第2項

人への危険有害性の分類
(国際基準)

消防法

火災時の社会的リスク管理(国内法規制

GHSは「人にとってどれくらい危険か」を示す分類制度です。
一方、消防法は「一定量以上保管すると社会的にどれだけ火災リスクが高まるか」を規制する制度です。

この違いが、判断ズレの原因になります。

一致しない具体例

  • GHSで引火性液体に該当しないが、消防法に該当する場合

    例)引火点が93℃より上、250℃未満の物質エチレングリコール)

    →GHSの引火性液体の基準は≤93℃、消防法は250℃未満まで区分があるため、引火点が111℃のエチレングリコールは引火性液体には該当しないが、消防法には該当する可能性があります

  • 混合物の場合
    例)危険物成分を含む混合物(キシレン含有塗料、エタノール水溶液等)

    →GHSでは混合物全体で分類しますが、消防法では危険物成分の含有量によって該当性を判断する場合があります。

実務でよくある誤記パターン

① GHS分類をそのまま消防法区分として記載する

【正】GHS第2項が「引火性液体 区分3」であっても、消防法上の該当性を別途確認してから第15項に記載する。
【誤】GHS第2項に「引火性液体 区分3」とあるため、自動的に「消防法 第4類」と記載する。

理由:GHSと消防法は制度目的が異なるため、分類基準が一致しない場合があります。GHSで引火性でも、消防法では非該当となるケースがあるため、機械的転記は誤りです。

② 非該当にもかかわらず「指定数量未満」と記載する

【正】消防法非該当の場合は、「消防法:非該当」と明記する。
【誤】消防法非該当であるにもかかわらず、「指定数量未満」と記載する。

理由:指定数量は危険物にのみ存在する概念です。非該当物質には倍数も指定数量も存在しません。「未満」と書くと、危険物であることを前提にしているため、法令上不正確になります。

③ 指定可燃物を危険物として記載する

【正】指定可燃物は、条例規制として区別して記載する。
【誤】指定可燃物を「消防法危険物」として記載する。

理由:指定可燃物は消防法本体の危険物ではなく、火災予防条例による規制対象です。制度が異なるため、危険物と同列に記載すると誤解を招きます。

上記3つの例からわかるように、SDS第2項と第15項は、連動しているように見えて独立判断が必要です。

第2項を見て第15項を書くのではなく、消防法上の該当性を別途確認するという意識が重要です。

まとめ

最後に、本記事のポイントを整理します。

  • 指定数量は「違法ライン」ではなく、規制強度が変わる基準
  • 倍数は「指定数量に対する割合」を示す指標
  • 危険物と指定可燃物は別制度
  • 指定可燃物は倍数計算に含めない
  • GHSと消防法は目的が異なる
  • SDS第15項は独立判断が必要

指定数量の理解は、単なる知識ではなく、倉庫設計、在庫管理、法令対応等すべてに影響します。

SDS作成者・管理者として重要なのは「一覧を知っていること」ではなく、制度の構造を理解して、自分で判断できることです。

指定数量と倍数計算を正しく理解することで、法令リスクの回避だけでなく、実務の信頼性向上も目指しましょう。

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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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