更新:2026.02.10スマートSDSメディア編集部

消防法は、化学物質を安全に取り扱うために欠かせない法令のひとつです。化学品の危険性を伝えるドキュメントであるSDS(安全データシート)にも、危険物の分類や火災時の注意事項など、消防法に関わる記載項目がいくつか存在します。一方で、「どの項目が消防法に関係するのか」「どこまで対応すればよいのか」と迷う担当者の方も多いと思います。
本記事では、SDS作成・管理の観点から、消防法の役割や押さえておきたいポイントを解説します。日々のSDS運用をスムーズに進めたい方や、法令対応に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
消防法は、火災や爆発などの事故を防止するために、危険物の貯蔵・取扱い方法や管理上限数量、必要設備要件などを定めた法令です。消防法はSDSの作成・記載を義務付けるSDS3法(労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、PRTR法)に含まれてはいませんが、製品の安全な取り扱いや保管方法を正しく伝えるというSDS本来の目的を考えると、できる限り記載しておくことが望ましい情報と言えます。
特に、消防法の危険物分類は製品の 保管条件や取り扱い方法に直結します。たとえば、引火性液体に該当する製品の場合、指定数量や保管場所の制限、火気管理の必要性など、現場での運用に影響する情報が多く含まれます。SDSに消防法危険物分類が記載されていれば、使用者は自社の設備や保管方法が適切か判断しやすくなります。
また、GHSでは比較的低い危険性区分となっていても、消防法では危険物に該当するケースもあります。このような場合、SDSに消防法情報が補足されていないと、取り扱いや保管に関する注意が不足し、結果としてリスクを見落とす可能性があります。
このように、消防法の記載は、法令対応だけでなく、製品の安全な取り扱いや保管を支える実務情報として必須と言えます。
消防法では、火災や爆発の危険性が高い物質を「危険物」として定義し、物理状態・性質ごとに第1類から第6類まで分類しています。危険物一覧は、この分類と該当物質を整理したもので、製品が消防法上の危険物に該当するかを判断するための情報となります。
単一物質は、該当物質の危険物分類が比較的わかりやすいケースです。というのも、化学物質が属する化学的カテゴリー、危険物一覧に掲載されているかどうかを確認す ることで判断できるためです。今回掲載している一覧表(下記の画像)に記載されている物質であれば、消防法上の危険物に該当する可能性が高いといえます。実務上は、CAS番号に紐つく化学物質ごとに、以下「品名」が割り当てられているため、CAS番号が分かればスムーズな判断が可能となります。


一方、混合物の場合は、単純に含有物質の情報(名称・CAS番号)だけで判断できるとは限りません。混合物は、混合物としての物性情報に応じて危険物分類が決定されるためです。混合物の性状、引火点・燃焼点などの情報をもとに、消防法の判定ルールに従って判断します。判断手順の概要は、混合物の判断フローを示した図(下記の画像)を参照することで確認できます。

例えば、9項の情報が液体で、引火点が23℃、SDSの溶解度欄に「水:溶ける」と記載されている場合を考えます。このような条件では、消防法の分類上、「引火点が21℃以上70℃未満の水溶性液体」に該当する可能性があり、第4類 第二石油類(水溶性)として扱われるケースが想定されます。
SDS作成ツール「スマートSDSメイク」では、単一物質であればNITE-CHRIP等の情報をもとに、消防法に基づく分類が自動で入力される仕様となっています。混合物の場合は上述の通り、構成物質の情報のみで判定は難しいものの、ユーザーが判断しやすいよう、さまざまなアシスト機能を設けています。
消防法で定められる複雑な判定フローをシステム上にわかりやすく再現した機能がその一例です。以下の画像は第4類・第5類の判定フローを例示しています。判定に必要な情報(引火点・燃焼点等)を入力していくと、システム上に最終的に正しい危険物分類が表示されます。

