リスクアセスメント

確認測定とは?リスクアセスメントでの役割や、個人ばく露測定および作業環境測定との関係性、実施方法まで徹底解説!

更新:2026.04.07スマートSDSメディア編集部

確認測定とは?リスクアセスメントでの役割や、個人ばく露測定および作業環境測定との関係性、実施方法まで徹底解説!の記事本文サムネイル

化学物質による健康リスクを適切に管理するためには、リスクアセスメントの実施だけでなく、その評価結果が実際の作業環境を適切に反映しているかを確認することが重要です。その際に重要な役割を果たすのが「確認測定」です。

確認測定は、ばく露低減措置の有効性と濃度基準値の遵守状況を確認するための測定です。しかし、個人ばく露測定や作業環境測定との違い、どのような場面で実施すべきかについては、十分に理解されていないケースも少なくありません。

本記事では、確認測定の基本的な考え方から、リスクアセスメントにおける位置づけ、個人ばく露測定および作業環境測定との関係性、さらに具体的な実施方法までを体系的に解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

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確認測定とは

確認測定とは、リスクアセスメントの実施後に、講じたばく露低減措置が適切に機能しているかを確認し、労働者のばく露が濃度基準値以下に管理されているかを検証するための測定です。

まず、事業者は、数理モデル(CREATE-SIMPLEなど、作業条件から化学物質のばく露濃度を推計するための計算手法)の活用を含めた適切な方法により、事業場で製造または取り扱うすべてのリスクアセスメント対象物についてリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて必要なばく露低減措置を講じます。

そのうえで、リスクアセスメントの結果、労働者のばく露が濃度基準値を超えるおそれのある作業が把握された場合には、労働者のばく露の程度と濃度基準値を比較し、確認測定を実施します。さらに、測定結果を踏まえて追加のばく露低減措置を検討・実施します。

濃度基準値とは

濃度基準値とは、労働安全衛生法に基づき定められた基準であり、労働者の健康への有害影響を防ぐため、ばく露濃度を一定レベル以下に管理することを目的としたものです。
この基準値が設定されている化学物質を製造または取り扱う屋内作業場では、事業者は労働者のばく露濃度を濃度基準値以下に維持することが義務付けられています。

詳しくは、濃度基準値とは? 設定物質の一覧や、SDS・リスクアセスメントとの関係を解説で、許容濃度・管理濃度との違いや濃度基準値設定物質についても書かれています。

リスクアセスメントとの関係性

リスクアセスメントと確認測定は、「予測」と「実際の確認」という関係にあります。

リスクアセスメントでは、ばく露リスクを事前に評価し、必要な対策を考えます。その後、本当に濃度基準値以下に管理できているかを確認測定によって確かめます。

リスクアセスメント対象物については、事業者にリスクアセスメントの実施が義務付けられています(労働安全衛生法第57条の3より)。そして、その結果に基づき、労働者の危険や健康障害を防止するために必要な措置を講じます。

さらに、新たな化学物質規制では、代替物の使用、設備の密閉化、排気装置の設置、有効な呼吸用保護具の使用などにより、労働者のばく露を最小限に抑えることが義務化されました。加えて、濃度基準値が定められた物質を取り扱う屋内作業場では、労働者のばく露を濃度基準値以下とすることが求められています。

なお、確認測定の実施そのものは法令上の義務ではありませんが、ばく露を濃度基準値以下に管理するという「結果」を事業者が担保するための実質的な手段として、化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針(厚生労働省告示)では、確認測定の活用が推奨されています。

厚生労働省のリスクアセスメントを元に筆者が作成
厚生労働省のリスクアセスメントを元に筆者が作成

個人ばく露測定および作業環境測定との関係性

個人ばく露測定および作業環境測定は、労働者が実際にどの程度の化学物質にばく露しているかを実測し、その結果をリスク評価や対策の検討に活用するための手法です。リスクアセスメントの見積もりをする際に実施されます。

一方、確認測定は、個人ばく露測定や作業環境測定などの結果を踏まえてリスクアセスメントを実施した作業環境において、労働者のばく露が濃度基準値を満たしているか、すなわち基準値以下に管理されているかを確認するために行う測定です。

つまり、個人ばく露測定や作業環境測定が「リスクを把握し対策を検討するための測定」であるのに対し、確認測定は「対策後の環境が基準を遵守できているかを確認するための測定」と位置付けられます。

確認測定方法

事業者は、作業内容の調査、場の測定結果(作業環境測定)、数理モデル解析などを基に、有害物質へのばく露がほぼ同程度と考えられる「均等ばく露作業(作業内容・使用物質・作業時間などが同程度で、ばく露の程度がほぼ同等と見なされる作業のグループ)」に従事する労働者のばく露濃度を評価します。その結果、ばく露の程度が8時間濃度基準値の2分の1程度を超えると評価された場合には、確認測定を実施することが求められます。

例えば、濃度基準値が設定されている物質を使用する塗装作業で、数理モデルによりばく露濃度が8時間濃度基準値の60%と推定された場合、確認測定を実施します。

測定を初めて行うタイミング

濃度基準値が設定されている化学物質はリスクアセスメント対象物に含まれるため、濃度基準値が設定されている化学物質を取り扱うタイミングで、リスクアセスメントを実施し、必要に応じて確認測定を行います。

労働安全衛生規則によってリスクアセスメントの実施が求められているタイミングは、以下の通りです。

  • 対象物質を新たに採用または変更する場合
  • 当該物質を取り扱う作業方法を新規に採用または変更する場合
  • 物質の危険性・有害性に変化が生じ、または生じるおそれがある場合


測定ペース

労働者の呼吸域における物質濃度が濃度基準値を超えている作業場では、ばく露管理の適切性を確認する必要があります。

そのため、告示の定めに基づき、少なくとも6か月に1回の頻度で確認測定を実施することが求められています。

一方、労働者の呼吸域における濃度が濃度基準値の2分の1程度を上回り基準値以下である場合には、以下の状況を考慮したうえで事業者が頻度を判断します。

  • リスクアセスメントの結果
  • 定点連続モニタリングの結果
  • 工学的対策(局所排気装置など)の信頼性
  • 化学物質の毒性の程度

なお、労働者の呼吸域における濃度が濃度基準値以下で、局所排気装置が継続的に正常稼働しており、定点の連続モニタリング等によって環境中の濃度に大きな変動がないことを確認している場合は、作業方法や局所排気装置等の変更がない限り、確認測定を定期的に実施することは要しません。

呼吸域とは

両耳を結ぶ線の中点を中心として、顔の前方に広がる半径30cmの半球状の空間を指します。作業者が吸い込む空気が存在する領域です。

測定者

確認測定の結果の信頼性および精度を確保する観点から、測定の実施にあたっては作業環境測定士(作業環境の測定・評価を専門とする国家資格者)が関与することが望ましいとされています。(厚生労働省告示:化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針より)

対象者

測定対象者は、均等ばく露作業に従事する労働者の中から最も高いばく露を受けると考えられる者を選び、その呼吸域濃度を測定することが基本となります。最大ばく露者を特定できない場合には、対象作業者のおおむね5分の1程度を抽出して測定を行うことが推奨されています。

また、個々の測定値が、均等ばく露作業グループ内の測定値の平均値の概ね0.5倍〜2倍の範囲を外れる場合には、均等ばく露作業の区分をより細かく見直します。

ばく露低減措置の検討および濃度基準値以下への管理にあたっては、関係労働者の意見聴取が義務付けられており、確認測定の結果共有を含め、十分なコミュニケーションを図ることが重要です。

さらに、測定結果のばらつきや測定上の誤差・失敗の可能性を考慮すると、8時間濃度基準値との比較を目的とした測定では、均等ばく露作業ごとに最低でも2名の労働者を測定対象として選定します。(化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針:厚生労働省告示)

短時間濃度基準値との比較を行う場合も、最も高いばく露を受けると想定される労働者のみを対象として測定を実施しても差し支えないとされています。

測定作業・場所

すべての労働者のばく露を基準値以下に管理するという趣旨から、最も高いばく露が想定される作業で測定を行い、その結果に基づいて事業場全体に共通の厳しいばく露低減措置を講じる場合には、ばく露が低い作業まで個別に測定する必要はありません。一方で、作業ごとに対策内容や呼吸用保護具の選定を適切に調整する場合には、均等ばく露作業ごとに最大ばく露となる労働者を選定して測定しましょう。

測定方法

確認測定の測定方法は個人ばく露測定と同様であり、労働者の呼吸域にサンプラーを装着し、一定時間の化学物質濃度を捕集・分析します。代表的な手法としては個人サンプリング法があり、小型のポンプとフィルター・捕集管を組み合わせた装置を作業中の労働者に装着します(図参照)。詳細は個人ばく露測定とは?ガイドラインや測定方法などの基礎から、作業環境測定や個人サンプリング法との違いまで解説!の解説記事をご覧ください。

日本産業衛生学会:化学物質の個人ばく露測定のガイドラインより
日本産業衛生学会:化学物質の個人ばく露測定のガイドラインより

【引用】日本産業衛生学会:化学物質の個人ばく露測定のガイドラインより

よくある事例

濃度基準値を超過した場合

濃度基準値は、労働者のばく露が上回ってはならない基準であるものの、労働者の呼吸域における濃度が基準値を超過している場合であっても、有効な呼吸用保護具を適切に使用することにより、実際のばく露を濃度基準値以下に抑えることは許容されています。(化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針:厚生労働省告示)

なお、事業者が実施した確認測定の結果、労働者のばく露が濃度基準値を上回っていることが判明した場合には、速やかにばく露低減措置を講じる必要があります。

濃度基準値が設定されていない場合

労働安全衛生法第57条の3に定めるリスクアセスメントにおいては、濃度基準値が設定されていない物質については、常に測定を実施することが求められるものではありません。一定以上のばく露があると推定される場合など、より正確なばく露評価が必要と判断される場合に限り、測定を実施することが適切とされています。

この測定は、作業場全体におけるばく露状況を評価し、労働安全衛生規則第577条の2第1項に基づき、ばく露を最小限に抑えるための対策を検討することを目的として実施されます。そのため、工学的対策を講じる場合には、労働者の呼吸域における個人ばく露測定だけでなく、適切に設計された場の測定を併用することが必要となる場合があります。

さらに、事業場における有害物質のばく露が適切に管理されていることを統計的根拠に基づいて示すためには、測定値のばらつきを考慮し、信頼区間を踏まえた評価を行うことが望ましいとされています。

作業場所や環境が毎回異なる場合

建設作業など、作業環境が毎回異なる場合には、事業者はまず典型的な作業内容を整理し、あらかじめ当該作業における労働者のばく露濃度を測定しておくことが求められます。
その測定結果を基に、局所排気装置の設置・使用や要求防護係数(作業場のばく露濃度を濃度基準値以下にするために必要な最低限の保護性能の算出値)を上回る指定防護係数(厚生労働省が保護具の種類ごとに定めた性能基準値)を持つ呼吸用保護具を選定します。さらに、これらのばく露対策措置を定めたマニュアル等を作成することで、作業のたびに濃度測定を行わなくてもリスクアセスメントを実施することが可能となります。

まとめ

確認測定は、単に基準値との適合を確認するための作業ではなく、リスクアセスメントによって選択した管理方法が現場で適切に機能しているかを見直す機会でもあります。測定結果を通じて作業実態を客観的に把握することで、想定していなかったばく露要因や改善の余地が見えてくることも少なくありません。

また、測定は一度実施して終わりではなく、作業内容や設備、使用物質の変化に応じて継続的に確認していくことが重要です。個人ばく露測定や作業環境測定と組み合わせながら活用し、より実効性のある化学物質管理につなげていきましょう。


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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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