更新:2026.08.21スマートSDSメディア編集部

永和物産株式会社
執行役員 今井様
食品原材料や香料原材料を海外から輸入・販売する永和物産株式会社。
同社では、海外メーカーから受領した英語のSDSをもとに、日本国内の法令や香料工業会の手引きに沿った日本語のSDSを作成しています。
しかし、SDS作成には化学物質に関する専門知識が求められ、業務は一部の経験者に集中。担当者の退職によって今井様に業務が戻ってきたことに加え、安衛法の対象となる化学物質の増加により、顧客対応の負担も大きくなっていました。
そこで導入したのが、SDS作成支援サービス「スマートSDSメイク」です。
導入の背景や選定理由、英語SDSの確認時間が約3時間から1時間未満になった効果、そして品質 保証を会社の競争力につなげる今後の展望について、執行役員の今井様に伺いました。
ーはじめに、永和物産の事業内容について教えてください。
今井様:
当社は60年以上続く輸入専門商社です。海外から原材料を輸入し、国内のお客さまへ販売しています。
主に扱っているのは食品原材料で、現在の主力商品はMCTオイルです。そのほか、フレーバーの原材料になるレモンオイルやオレンジオイルなどの各種オイル、酵素、乳化剤なども扱っています。全体としては、食品添加物に関連する商品が多いですね。
ー食品原材料を扱うなかで、SDSはどのような場面で必要になるのでしょうか。
今井様:
レモンオイルやオレンジオイルなど、一見すると食品に近い原材料でも、その中にはSDSの記載対象となる化学物質が含まれています。
輸入時に税関へ「これはどういうものか」を説明する場面や、輸送するとき、お客さまの倉庫で保管するときなどにSDSが必要です。社内では、当時の資材部と品質保証部が中心になって使用していました。
ー海外メーカーから受け取ったSDSを、そのまま国内で使用することはできないのでしょうか。
今井様:
そのままでは使用できない場合があります。
当社では、海外メーカーから輸入する際に添付される英語のSDSをもとに、工業会が発行しているSDS作成の手引きを確認しながら、日本国内向けのSDSを作成しています。
海外では、たとえばレモンオイルを一つの物質としてまとめて記載することがあります。しかし、天然のオイルにはリモネンやリナロールなど、複数の化学物質が含まれています。日本では、安衛法などに従って、それらをより細かく記載しなければならない場合があります。
日本、EU、米国では分類や解釈が微妙に異なるので、英語を日本語に訳すだけでは終わりません。Hコードなどの分類を修正したり、香料工業会の指針と照らし合わせたり、毒性分類の計算が正しいか確認したりする必要があります。
担当者によって転記内容や解釈がぶれる可能性もありますし、計算結果を確認したところ、明らかに合っていないこともありました。かなり専門的な判断が必要な業務です。

ースマートSDSメイクを検討する前は、どのような体制でSDSを作成していたのでしょうか。
今井様:
もともと、社内で長年SDS作成を担当してきたベテラン社員がいました。
SDSや規格書について独学で勉強しながら、当社のSDS作成の土台をつくってくださった方です。その業務を私が引き継ぎました。
私は執行役員として、品質保証部以外にも経理部、業務部、海外事業部などを担当しています。そのなかで専門性の高いSDS作成も行うことになり、知識はあったものの率直に「このままでは仕事が回らない」と感じました。
ー業務量の面でも変化があったのでしょうか。
今井様:
安衛法の対象となる化学物質は毎年増えています。
短期間に対応が重なることもあり、お客さまへの対応が追いつかない場面が出てきました。自分だけでは調べきれない内容も増えていたので、何か専門的なサービスを活用できないかと探し始めました。
ー特に課題だと感じていたのは、作業量でしょうか。それとも属人化で しょうか。
今井様:
作業量もそうですが、私がより強く課題に感じていたのは属人化です。
SDSに限った話ではありませんが、長年勤めた方が退職したとき、その方が持っていた知識や仕事の進め方を十分に引き継げないと、業務がブラックボックス化します。
その穴を埋めている間に顧客対応が遅れれば、他社に入り込まれるきっかけにもなります。属人化して良いことはないと思っています。
ISO 9001でも、組織の知識をきちんと継承することが求められています。担当者がいなくなってから困るのではなく、事前に誰でも業務を回せる仕組みをつくる必要があると考えていました。
また、私自身がSDS作成を抱え続けていると、現在の役割から動けません。それでは自分自身の成長もありませんし、会社としても私に次の仕事を任せられません。
誰か一人が仕事を抱えるのではなく、人を育て、全員の生産性を高めて会社を成長させる。そのためにも、SDS作成を仕組み化したいと考えていました。

ーシステムを選ぶ際に、特に重視していたことを教えてください。
今井様:
私自身が使えるかどうかではなく、今後担当する人が使えるかどうかを重視しました。
検討当時、当社では新しい担当者の採用活動も進めていました。私は以前、化学メーカーで働いた経験があり、大学も化学系だったので、SDSや化学物質に対する抵抗感はあまりありません。
ただ、食品業界では農学部や食品系の出身者も多く、化学物質と食品が頭の中で結びつきにくい方もいます。
新しく入社した担当者も、以前の職場でISOに関連してSDSを管理した経験はありましたが、自分でSDSを作成した経験はありませんでした。「SDSが何かは知っているけれど、実際に作ったことはない」という状態です。
だからこそ、専門知識のある私にとって高機能かどうかではなく、知識の少ない人でも分かりやすく、抵抗感なく使えるかを重視しました。
ー実際にこれまで、これからの担当者にも画面を見てもらったのでしょうか。
今井様:
はい。「こういうシステムを使ってSDSを作っていく予定です」と説明しながら見てもらいました。
本人からも「これなら作りやすそうですね」という反応がありました。長年SDS作成を担当してきたベテラン社員にも見てもらいましたが、「分かりやすいね。これなら良いのではないか」と評価してもらえました。
自分だけでなく、経験の異なる人が見ても使いやすいと感じたので、選定の方向性は間違っていなかったと思います。

ー導入前には、他社のSDS作成サービスも比較されたのでしょうか。
今井様:
はい。最初は他社のサービスを見つけて、トライアルをしていました。
専門的なサービスなので、多少使いにくくても「こういうものなのかな」と思っていた部分もあります。ただ、画面操作やデザイン上引っかかるところがあり、本当にこのサービスだけを見て決めてよいのかと考え、ほかのサービスも探している中で’スマートSDSメイクを知りました。
トライアルで実際に使ってみると分かりやすく、補助金も活用できるので、社内でも提案しやすいと感じました。
操作面でも複雑な移動はなく、実際のSDSの構造に近い形で確認できる点は、作成時の分かりやすさにつながっています。

ー英語SDSの日本語翻訳機能も、選定の決め手になったのでしょうか。
今井様:
そこが一番大きかったですね。
以前は、英語SDSを受け取ったら、自分たちで日本語へ翻訳して内容を確認していました。スマートSDSメイクでは、英語SDSを読み込むと、まず日本語で「何が書かれているのか」を確認できます。
もちろん、翻訳された内容をそのまま使用するのではなく、商品の特性や工業会の指針と照らし合わせながら細かく確認します。ただ、最初に日本語で全体を把握できるだけでも非常に助かります。
比較したサービスにもスマートSDSメイクにはない優れた機能はありました。ただ、日常業務の負担を考えたとき、私たちにとっては、直感的で使いやすい操作性と、英語から日本語への翻訳機能のほうが重要でした。

ー導入時の操作やサポートについてはいかがでしたか。
今井様:
私自身にSDS作成の経験があることも関係していると思いますが、実際に操作するなかで、不安に感じるポイントがほとんどありませんでした。
原材料の一括取り込みについて質問したことはありましたが、それ以外は大きく迷わずに使えています。専門性が高いサービスでありながら、スムーズに操作できました。
ー今後、ほかの担当者へ引き継ぐ際にも、サポートが役立ちそうでしょうか。
今井様:
そう思います。新しい担当者が分からないことに直面したとき、私が中途半端な記憶で「確かこうだったと思う」と教えるより、スマートSDSメイクのサポートへ直接聞いてもらうほうが早く、正確です。
質問すればきちんと回答してもらえるので、担当者が一人で問題を抱え込む必要がありません。業務知識だけでなく、質問への対応まで特定の人に集中させないことも、属人化を防ぐうえで大切だと考えています。
ー導入後、業務にはどのような変化がありましたか。
今井様:
特に変わったのは、英語SDSを日本語へ翻訳して確認する作業です。
以前は、英語を日本語に直して内容を整えるだけでも、1件あたり2〜3時間かかっていました。初めて扱う商品では、4〜5時間かかることもあります。
スマートSDSメイクでは、英語SDSを読み込んで日本語で内容を確認できます。以前のSDSと見比べて、「ここは変わっていない」「この箇所は更新が必要」と判断できるため、今では1時間未満で確認できるようになりました。
感覚としては、作業時間が約3分の1になっています。
ー英語SDSを確認する業務は、どのくらいの頻度で発生しますか。
今井様:
輸入のタイミングなどによりますが、月10件前後です。
新商品では、知見の無い化学物質が記載されていることもあります。その場合も、まず日本語に翻訳して内容を把握し、CAS番号などを使って調べることができます。
現時点では、SDSに特化した翻訳ツールのような使い方が中心です。ただ、それによって新しい担当者もSDSや化学物質、システムそのものに触れやすくなっています。
ー新しい担当者への引き継ぎは、どのように進めていますか。
今井様:
現在は、社内に残っている商品情報を整理してもらっています。
当社には古いものも含めて多くの商品情報があるため、どこまで更新する必要があるのかを確認しながら、リストを整理している段階です。それが終わったら、SDS作成にも本格的に関わってもらう予定です。
ただ、最初からすべての分類や法令を理解してもらおうとは考えていません。
まずは英語SDSをスマートSDSメイクへ読み込み、日本語で内容を確認する。システムに触りながら、SDSの構造や化学物質に慣れて もらうところから始めています。
「何が正しくて、何がおかしいのか分からない」という段階でも、作業に時間を取られすぎることなく、SDS作成業務に携われています。
最初から難しいと感じて嫌になってしまうと、その後も取り組まなくなります。「スマートSDSメイクを使えば、自分でも進められる」と感じてもらい、まず成功体験をつくることが大切だと思っています。
ーSDS作成にかかる時間が減ったことで、ほかの業務にも変化はありましたか。
今井様:
はい。私は品質保証部だけでなく、経理部、業務部、海外事業部など、バックオフィス系の部署を幅広く担当しています。
これまで十分に時間を取れなかった、社員の困りごとを聞くことや、目標設定を支援することにも時間を使えるようになりました。
また、当社では前年から人事評価や目標管理の仕組みを導入しています。社員から「分かりにくい」という意見も出ていたため、目標管理シートのフォーマットを見直し、今年度の評価に向けて改訂する作業も 進められました。
SDS作成を効率化したことで、単に残業が減ったというより、今まで十分に取り組めなかった会社の仕組みづくりに時間を使えるようになったことが大きいですね。

ー人が対応したほうがよい仕事と、システムに任せたい仕事をどのように分けていますか。
今井様:
商品の選定や仕入れでは、実際に人と会って話をしたり、香りを嗅いだりすることが重要です。
特に当社のような規模の商社は、コモディティ商品だけでなく、特徴のあるスペシャリティ商品を探していかなければなりません。そのためには、現地へ行き、見て、聞いて、体験することに時間を使う必要があります。
一方、SDS作成のように、正確性が求められ、仕組みによって効率化できる業務は、システムを活用す べきだと考えています。
そうした作業にかかる時間を減らし、人にしかできない仕事へ時間を振り向けたいと思っています。
ー今後、品質保証部をどのような組織にしていきたいと考えていますか。
今井様:
私は「動ける品証」にしていきたいと考えています。
品質保証部は、売上を生まない部門だと思われることがあります。「規格書をつくる部署」「監査を受ける部署」というイメージを持たれることもあります。
ただ、商社でありながら品質保証の専門部署を持っている会社は、それほど多くないと聞いています。だからこそ、営業担当者と一緒にお客さまを訪問し、品質や安全性について一歩踏み込んだ説明ができれば、当社の強みになります。
香料原材料のように、複数の商社が同じような商品を取り扱っている市場では、商品だけで差別化することは簡単ではありません。
そのなかで、最新で正確なSDSを提供し、「ここまできちんと管理している会社なのですね」と思っていただければ、品質と信頼が価格以外の競争力になります。
品質保証部が顧客の前に出て、営業活動を支援し、その結果として商品を選んでいただけるのであれば、品質保証部も売上を生み出していると言えると思います。
SDS作成の時間を短縮することは、そのような「動ける品証」を実現するための土台です。
ー最後に、スマートSDSメイクを活用して今後実現したいことを教えてください。
今井様:
まずは社内の商品情報を整理し、スマートSDSメイクを使ってSDS作成を進めていきたいです。
現在は私が中心になって使っていますが、新しい担当者にも段階的に引き継ぎ、将来的には誰でもSDSを作成できる体制にしたいと考えています。
以前は、お客さまからSDSを求められてから英語を翻訳し、国内向けに作成していたため、回答までに時間がかかることがありました。
今後は、法令や原料情報の変更に合わせて事前にSDSを更新し、お問い合わせを受ける前に最新のものをお送りできる状態をつくりたいです。
質問や資料送付にもすぐ対応できれば、他社より一歩早くお客さまとの信頼関係を築けます。
早ければ良いと いうことではありませんが、正確で、より正しい情報を、できる限り早くお届けする。その積み重ねによって、「品質をきちんと管理している会社」として評価していただきたいと思っています。
SDS作成の効率化を、単なる時間短縮で終わらせず、人材育成や組織づくり、顧客への価値提供へつなげている永和物産株式会社。
スマートSDSメイクによって、専門知識を持つ一部の担当者だけでなく、誰もがSDS作成に取り組める体制づくりが始まっています。
作業にかかる時間を減らし、人だからこそ生み出せる価値に時間を使う。その先にある「動ける品証」の実現に向けて、同社の取り組みは続いていきます。
※掲載内容は取材当時のものです。
スマートSDSメイクは、海外SDSの翻訳や国内向けSDSの作成を支援し、担当者の経験にかかわらず、SDS作成に取り組みやすい環境を実現します。