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融点・凝固点について~意味・見方・実務での読み取り方~

更新:2026.03.17スマートSDSメディア編集部

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SDS(安全データシート)の第9項には、物質の物理的・化学的性質としてさまざまな物性値が記載されています。その中でも「融点/凝固点」は基本的な項目の一つですが、実務ではその意味や使い方を意識する機会はそれほど多くありません。

しかし、融点や凝固点は単なる温度情報ではなく、物質の状態変化を理解するための重要な指標です。特にSDSを作成・管理する立場では、物質がどの温度で固体や液体になるのかを理解しておくことが、保管条件や取り扱いの判断にもつながります。

この記事では、融点と凝固点の基本的な意味から、SDS第9項における読み取り方、さらにSDS内で混同しやすい温度項目との違いまで整理します。

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融点と凝固点とは

融点とは、固体が液体に変化する温度のことを指します。
一方、凝固点とは、液体が固体に変化する温度を指します。

つまり、融点と凝固点は「固体⇄液体」という同じ状態変化を、異なる方向から表したものです。

多くの純物質では、融点と凝固点はほぼ同じ温度になります。たとえば水の場合、0℃で氷が水になり、同じく0℃で水が氷になります。このため、SDS(安全データシート)では「融点/凝固点」として一つの項目にまとめて記載されることが一般的です。

一方で、混合物の場合は状況が異なります。混合物では複数の成分が含まれるため、純物質のような明確な一点の温度ではなく、一定の温度範囲で徐々に状態が変化することがあります。

例えば、パラフィンワックスなどの炭化水素混合物では、SDSに以下のように記載されることがあります。

例) 融点/凝固点:50~60℃

これは、50℃付近から溶け始め、60℃付近までに液体化が進むことを意味します。
このような温度範囲の記載は混合物特有の表現です。

SDS第9項の融点/凝固点から読み取れること

SDS第9項に記載される融点/凝固点は、保管・輸送条件を判断するうえで欠かせない物性値です。物質の状態変化や取り扱い条件を理解するための指標として利用されます。実務では、例えば次のような観点で読み取ることができます。

① 低温時の固化

例:凝固点 −10℃

この場合、温度が−10℃以下になると液体が固体に変化する可能性があります。
そのため、冬季の屋外保管や寒冷地での輸送では、製品が固化する可能性があることが読み取れます。

② 加熱時の融解

例:融点 50℃

この場合、温度が50℃付近になると固体が液体に変化します。
加熱工程や高温環境で保管される場合には、物質が液体化して流動する可能性があることが理解できます。

③ 常温での物理状態

例:融点 300℃

このように融点が非常に高い場合、常温では固体のままであり、通常の作業環境では液体化する可能性が低いことがわかります。

このように、融点/凝固点は物質がどの温度で状態変化するのかを示しており、保管条件や取り扱い環境を考える際の基本的な情報となります。

なお、物質によっては明確な融点が存在しない場合もあり、その場合SDSでは「融点/凝固点:該当なし」または「データなし」と記載されることがあります。これは、加熱すると溶ける前に分解する物質や、明確な状態変化温度を持たない混合物や高分子材料などで見られることがあります。

SDSで混同しやすい温度項目

SDSには融点/凝固点以外にも温度に関する項目があり、それぞれの意味を混同してしまうケースもあります。ここでは代表的な例を整理します。

① 融点 vs 分解温度

融点は、固体が液体に変化する温度です。この場合、物質の化学構造は変化せず、同じ物質のまま状態だけが変化します。

一方、分解温度は、加熱によって物質そのものが分解して別の物質に変化する温度を指します。

炭酸水素ナトリウム(重曹)は、融点に達する前に熱分解が起こる物質として知られており、加熱すると炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素に分解されます。このような物質では融点ではなく、SDSには分解温度が記載されることがあります。

② 凝固点 vs 流動点

液体製品では、「凝固点」と「流動点」が混同されることがあります。

凝固点: 液体が固体になる温度
流動点:液体が流れる状態を保てる最低温度

例えば潤滑油や石油製品では、液体が固体になる前に、低温で流動性が失われる場合があります。そのためSDSでは、凝固点とは別に流動点が記載されることがあります。

まとめ

融点は固体が液体になる温度、凝固点は液体が固体になる温度を指します。多くの純物質では両者は同じ温度となるため、SDSでは「融点/凝固点」としてまとめて記載されることが一般的です。

また、融点/凝固点は単なる温度情報ではなく、物質の状態変化を理解するための重要な物性値でもあります。SDSを読み取る際には、融点/凝固点の値を保管温度の設定や輸送条件の確認など、実務上の判断に役立てましょう。

さらにSDSには、沸点や分解温度など温度に関するさまざまな項目があります。それぞれの意味を理解することで、SDSの内容をより正確に読み取ることができるようになります。

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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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