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動粘性率とは?水を例とした粘度との違いや、SDSでの役割についても徹底解説!

更新:2026.02.24スマートSDSメディア編集部

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液体の流れやすさは、見た目だけでは判断できません。同じ液体でも、さらさらと流れるものもあれば、ゆっくりとしか動かないものもあります。その違いを数値で表す指標の一つが「動粘性率」です。

粘度という言葉は聞いたことがあっても、「動粘性率との違いは?」と聞かれると、説明に迷う方も多いのではないでしょうか。実はこの二つは似ているようで意味が異なり、物質の性質を理解するうえで押さえておきたいポイントがあります。

本記事では、水とエタノールを例にしながら動粘性率と粘度との違いを明確にし、SDSに記載される危険有害性区分との関係性も解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。

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動粘性率

動粘性率は、 動粘性率(mm²/s)=粘度(mPa・s)÷密度(g/cm³)で求められます。

動粘度や動粘性係数とも同じ意味で用いられます。

物質の性質を「さらさらしている」「どろどろしている」と表現したことがあるのではないでしょうか。こうした“流れにくさ”や“粘り気”を数値で表したものが動粘性率です。感覚的な表現を、定量的に示した指標ともいえます。

単位は m²/s(または mm²/s)で表されるため、液体の平面的な“広がりやすさ”を示す値のように感じられますが、動粘性率は液体だけでなく気体にも用いられます。


動粘性率と粘度の違い

粘度の換算式は、粘度(mPa・s)=動粘性率(mm²/s)×密度(g/cm³)で表されます。粘度は、流体の種類や温度、圧力によって変化する物性値です。

あえて簡単に説明すると、粘度は「どれだけ動かしにくいか」を示し、動粘性率は「運動がどれだけ拡散に時間がかかるか」を表します。

一般に、密度が一定であれば、動粘性率が高い物質は粘度も高くなる傾向があり、流れにくく粘り気が強い性質を示します。

さらに、同じ動粘性率であっても、密度が大きくなれば粘度は大きくなります。例えば、醤油を煮詰めると水分が蒸発し、密度が高まることで、次第にドロドロとした状態になります。このように、密度の変化は粘度の大きさにも影響を与えることが分かります。


水の場合

身近な水を例に取り、動粘性率と粘度の関係や、さらに温度によってどのように変化するのかを見ていきましょう。

以下の図は、水の温度ごとに動粘性率と粘度を表したものです。

ものづくりウェブより

【引用】粘度と動粘度

このことから、液体の場合は温度が高くなるほど、一般に動粘性率や粘度は小さくなる傾向があることが分かります。

ここでは、密度の変化は比較的小さいものと仮定します。

冷やされた液体は分子の動きが鈍くなり、分子同士が引き合いやすくなるため、固体に近づくほど流れにくくなります。一方、温められた液体は分子運動がさらに活発になり、より流動しやすい状態になります。



エタノールの場合

水以外の液体でも同じようになるのか調査していきます。

エタノール(エタノール100%のエタノール水溶液)を例に取ります。

一般社団法人アルコール協会の公式サイトより

【引用】一般社団法人アルコール協会:エタノール水溶液の粘度


水と同様に、エタノールも温度が上がるほど粘度は小さくなることが分かります。

また、エタノールは水よりも凝固点(融点)が低いため、0℃を超えた温度でも十分に液体として存在します。そのため、低温域では水よりも粘度が高い状態が続くことがあります。

このように、粘度の温度変化は物質ごとに異なり、融点の違いは粘度範囲に影響を与えます。




水と空気の場合

密度が異なる水と空気では、どういった違いがあるかを見ていきましょう。

ものづくりウェブより

【引用】粘度と動粘度


図から分かるように、動粘性率は液体よりも気体のほうが大きくなり、およそ15倍程度の差が生じることがあります。

これは、気体は液体に比べて密度が非常に小さいためです。動粘性率は「粘度÷密度」で表されるため、密度が小さい気体では値が大きくなる傾向があります。

例えば、空気中では人は自由に動いたり走ったりできますが、水中(プールの中)では動きにくくなります。これは単に重いからというだけでなく、流体の密度や粘性の違いによって、運動のしやすさが大きく異なるためです。


このように、同じ液体では温度によって動粘性率に変化をもたらし、液体と気体では密度の違いが動粘性率の値に大きく影響することが分かります。


SDSでの役割

SDS第9項に記載される動粘性率について解説してきましたが、本章では、他の項目との関係性についても整理します。


まず、第2項「危険有害性の要約」に含まれる誤えん有害性の区分基準に、動粘性率が用いられます。
誤えん有害性とは、物質が気道から肺へ侵入することで、化学性肺炎やさまざまな程度の肺損傷、さらには死亡のような重篤な急性影響を引き起こす性質をいいます。

動粘性率は、液体の「流れやすさ」を示す指標であり、誤えん時に気道へ流入しやすいかどうかの判断材料となります。つまり、体内へ入り込みやすい性状かどうかを分類するための物性値として活用されています。


さらに、動粘性率は消防法における第4類危険物および指定可燃物の判断フローチャートにも登場します。

液体の性状に応じて、どの引火点測定方法を採用するか判断する際の参考情報となります。物質の性質に適した試験方法を選定することで、引火危険性を過小評価してしまうことを防ぐ役割を果たしています。


まとめ

動粘性率は液体の流れやすさを示す指標であり、物質の取り扱いや安全性の評価にも関わります。

本記事では、粘度との違いを整理し、水やエタノールを例に温度との関係を確認しました。また、水と空気を比較することで、密度の違いが動粘性率に大きく影響することも分かったのではないでしょうか。

さらに、SDS第9項に記載される動粘性率は、物性情報としてだけでなく、第2項にある吸引性呼吸器有害性(誤えん有害性)の区分や、消防法上の判断基準にも関係します。特に、吸引性呼吸器有害性の評価では、動粘性度として示される“広がりやすさ”が、呼吸によって体内へ入り込む危険性の目安になります。

数値の意味を正しく理解することは、リスクアセスメントの精度を高めます。動粘性率は「さらさら・どろどろ」を数値化しただけの値ではなく、安全管理に直結する重要な物性値であることを押さえておきましょう。

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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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