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局所排気装置とは?種類から点検・届出義務まで、関連法令とともに徹底解説

更新:2026.06.19スマートSDSメディア編集部

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化学物質による健康障害の防止において、作業環境管理の重要な要素の一つが「局所排気装置」です。発散源に近い位置で有害物質を捕捉し、作業者のばく露を低減させる設備として、多くの作業現場で設置が求められています。

しかし、法令に基づく届出や定期的な点検、適切な維持管理を行わなければ、本来の性能を発揮できない可能性があります。また、装置にはいくつかの種類があり、そのメリット・デメリットも理解しておくことが大切です。

本記事では、局所排気装置の基本的な仕組みから、届出や点検項目、関係法令、さらに種類ごとの特徴まで整理して解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

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換気について

局所排気装置の説明に入る前に、まずは換気について確認していきます。

換気とは、室内の汚染された空気を外部の新鮮な空気と入れ替えることをいいます。

換気方式は大きく、局所排気、プッシュプル型換気、全体換気の3つに分類されます。

有機溶剤を例に、換気方法の選定を見ていきましょう。

以下の図のように、有機溶剤の発生源対策フローでは、屋内作業における有機溶剤の種類や、作業内容の種類に応じて適切な換気方法があることが分かります。

有機溶剤中毒を予防しましょうより引用
【引用】有機溶剤中毒を予防しましょう

【引用】有機溶剤中毒を予防しましょう

一般的には、リスクが高い化学物質を扱う場合は、有害物質を発生源付近で捕集できる「局所排気」や「プッシュプル換気」が適しているとされています。
一方で、広い作業場に少量の有害物質の発散源が点在している場合には、「全体換気」が適しているケースもあります。

なお、有機則の適用対象外であっても、作業内容や使用する溶剤の有害性の程度に応じて、換気装置の設置や保護具の使用など、労働者の健康障害を予防するための措置を講じましょう。換気方法でそれぞれ特徴が異なるため、対象となる化学物質の危険性や、費用対効果とのバランスを考慮して選定しましょう。

次章では、これらの換気設備の中でも、「局所排気装置」に着目して解説していきます。

局所排気装置

局所排気装置とは、工場や研究施設などで発生する粉じん・有機溶剤・化学ガスなどの有害物質を、作業空間へ拡散する前に吸引・捕集し、屋外へ排出する設備を指します。
作業者のばく露防止や、安全な作業環境の確保を目的として設置されます。

局所排気装置には、有害物質が周囲へ拡散しにくく、排気を適切に処理できるというメリットがあります。

一方で、設備や運転にコストを要することに加え、装置が大掛かりになりやすく、設置スペースを確保する必要があり、フードやダクトの配置によっては、作業性に影響を与える場合もあります。

また、局所排気装置は、有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)や特定化学物質障害予防規則(以下、特化則)などで定められた構造・性能基準を満たさなければなりません。

そのため、安全性と法令適合を両立するには、専門的知見に基づく設計・施工が求められます。

局所排気装置の仕組み

局所排気装置は、どのような構造で換気を行っているのでしょうか。本章では、その仕組みについて見ていきます。

換気内の図を参考に筆者が作成
換気内の図を参考に筆者が作成

【引用】換気 

装置は主に、フード・ダクト・空気清浄装置・ファン(排風機)などで構成されています。

フードは、発生源を囲む、または発生源に近い位置に設置され、有害物質を含む空気をダクトへ流入させるための吸引口です。

ダクトは、フードから流入した有害物質を含む空気を排気口まで搬送するための管路です。フードからファンまでの吸引ダクトと、ファンから排気口までの排気ダクトに分けられます。

空気清浄装置は、有害物質を含む空気を外気に排出する前に処理・除去するための装置です。粉じんを除去する除じん装置や、ガス・蒸気を除去する排ガス処理装置などがあります。

ファンは、フードから吸引された空気をダクトおよび空気清浄装置を通して搬送し、排気口から大気中へ排出するためのエネルギーを与える装置です。

つまり図のように、発生源を囲んでいるフードから有害物質を含む空気を取り込み、ファンの力によってダクトおよび空気清浄装置へと搬送します。その後、空気清浄装置で有害物質を処理・除去し、最終的に排気口から外気へ排出するという流れになります。

また、局所排気装置のフードには、吸引気流によって有害物質を捕集する「捕捉式フード(囲い式・外付け式)」と、有害物質が自然な流れでフード内へ入る「レシーバー式フード」があります。局所排気を効果的に行うためには、有害物質の発散源の形状や大きさ、作業内容に適したフードを選定しなければなりません。次章では、各フードの特徴について解説します。

囲い式フードの局所排気

囲い式フードは、発散源を囲い込み、開口部から吸引気流を発生させることで、有害物質がフード外へ漏れ出すのを防ぎ、化学物質へのばく露を低減できる方式です。外付け式フードと比べて外乱気流の影響を受けにくく、少ない排風量でも高い効果を得られるため、局所排気装置の中でも特に効果的なフードとされています。

導入時には、作業内容に適した型式を選定しなければなりません。また、できるだけ作業空間を囲い、開口部を小さくすることで、より高い捕集効果が期待できます。一方で、必要な設備や材料を配置できる十分なスペースも確保する必要があります。

なお、囲い式フード内部には高濃度の有機溶剤蒸気が滞留する可能性があります。内部へ立ち入ったり、顔を近づけたりしないよう注意しましょう。新規導入や既存設備の見直しを行う際は、有機則などの法令要件を確認しながら、専門業者へ相談することが推奨されます。

【引用】換気
【引用】換気

【引用】換気

外付け式フードの局所排気

外付け式フードは、開口面の外側にある発散源の周囲に吸込み気流を形成し、周囲の空気とともに有害物質を吸引する方式である。そのため、十分な捕集性能を得るには排気量を大きくしなければなりません。また、周囲の乱れ気流の影響を受けやすく、囲い式フードに比べて捕集効率は低いという特徴があります。

さらに、外付け式フードは吸込み気流の方向により、下方吸引型、側方吸引型、上方吸引型に分類されます。新規に局所排気装置を導入する場合や既存設備の適否を判断する際には、有機則などの法令要件を確認したうえで、専門の販売業者等に相談することが望ましいです。

【引用】換気
【引用】換気

【引用】換気

レシーバー式の局所排気

レシーバー式フードとは、発散源から生じる熱浮力による上昇気流や回転に伴う気流に乗って飛散する有害物質に対し、その気流の方向に沿って粉じん、ガス、蒸気を捕集するように設けられたフードを指します。

一方で、空気より比重が大きい有機溶剤蒸気に対しては十分な効果が期待できない場合があるため、注意が必要です。

溶解炉・加熱炉、溶接作業など、有害物質とともに熱やガスが上方に昇る工程に最適です。

また、作業者が発散源とフードの間に立ち入ると、フードへ吸引される高濃度の有機溶剤蒸気にばく露するおそれがあるため、そのような立ち入りは避けましょう。新規に局所排気装置を導入する場合や、既存設備の構造が適切かどうかを判断する際には、有機則などの法令に基づく要件を確認しつつ、専門の販売業者等へ相談することが望まれます。

【引用】換気
【引用】換気

【引用】換気

本章では、どういったフローで換気設備を選び、局所排気装置にはどんな特徴があり、どのような仕組みになっているかまで説明してきました。

ところが、この局所排気装置は、設置したら終わりというものではありません。

次章では、設置したことを報告するための届出や、設置した後に行う点検について詳しく解説していきます。

届出について

労働安全衛生法で、事業者は局所排気装置を設置・移転・変更しようとする場合には、その計画を、工事開始日の30日前までに所轄の労働基準監督署長へ届け出をすることが原則義務付けられています。

労働安全衛生法

第八十八条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

第九十条 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

届出書類

書類には、機械等設備・移転・変更届や、局所排気装置摘要書、局所排気装置計算書、排気系統図、排気ファンの製品図面など、多くの種類があります。

状況に応じて適切な書類を選定しましょう。

以下では機械等設備・移転・変更届と局所排気装置摘要書を例として紹介しているので、参考にしてみてください。

機械等設備・移転・変更届

労働安全衛生法に基づき、局所排気装置などの機械設備を設置・移転・変更する際に、所轄の労働基準監督署長へ提出します。

どこの事業場で、いつどんな計画があるかを記載します。

【引用】厚生労働省:機械 等 設置・移転・変更届
【引用】厚生労働省:機械 等 設置・移転・変更届

【引用】厚生労働省:機械 等 設置・移転・変更届

局所排気装置摘要書

設置される局所排気装置が有害物質を適切に処理できる性能を有しているかを確認するための書類です。

フードの形式や排風機の回転数などを、詳細に記載します。

【引用】厚生労働省:局所排気装置摘要書
【引用】厚生労働省:局所排気装置摘要書

【引用】厚生労働省:局所排気装置摘要書

点検について

点検には、簡易的な点検定期自主検査の二種類があります。

まずは簡易的な点検から解説していきます。

点検

有機則および特化則などで、月1回の点検を実施し初回使用時や分解・改造時にも点検する必要があると定められています。

点検の内容は法令ごとに異なります。以下では有機則および特化則の点検に関する部分を抜粋しています。取り扱いのある化学物質によって適切な規定を遵守しましょう。

有機則

第十九条の二

二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。

第二十二条 事業者は、第二十条第一項の局所排気装置をはじめて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行つたときは、次の事項について点検を行わなければならない。

一 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態

二 ダクトの接続部における緩みの有無

三 吸気及び排気の能力

四 前三号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

2 前項の規定は、第二十条の二第一項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、前項第三号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。

第二十三条 事業者は、第二十条第二項及び第三項(第二十条の二第二項において準用する場合を含む。)の自主検査又は前条の点検を行なつた場合において、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。

特化則

第二十八条

二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。

第三十三条 事業者は、第二十九条各号に掲げる装置を初めて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行つたときは、当該装置の種類に応じ第三十条第一項各号に掲げる事項について、点検を行わなければならない。

第三十四条 事業者は、特定化学設備又はその附属設備をはじめて使用するとき、分解して改造若しくは修理を行なつたとき、又は引続き一月以上使用を休止した後に使用するときは、第三十一条第一項各号に掲げる事項について、点検を行なわなければならない。

2 事業者は、前項の場合のほか、特定化学設備又はその附属設備(配管を除く。)の用途の変更(使用する原材料の種類を変更する場合を含む。以下この項において同じ。)を行なつたときは、第三十一条第一項第一号イ、ニ及びホに掲げる事項並びにその用途の変更のために改造した部分の異常の有無について、点検を行なわなければならない。

第三十四条の二 事業者は、前二条の点検を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一 点検年月日

二 点検方法

三 点検箇所

四 点検の結果

五 点検を実施した者の氏名

六 点検の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容

第三十五条 事業者は、第三十条若しくは第三十一条の自主検査又は第三十三条若しくは第三十四条の点検を行つた場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他の措置を講じなければならない。

定期自主検査

有機則および特化則などで、1年以内ごとに1回定期自主検査を行い、その記録を3年間保存することが義務づけられています。

さらに定期自主検査は、研修を受講し専門的な知識を有する局所排気装置等定期自主検査者が行うことが推奨されます。

局所排気装置等定期自主検査者研修コースなども開催されていますので、必要に応じて各自ご確認ください。

点検と同様に、内容は法令ごとに異なります。以下では有機則および特化則の点検に関する部分を抜粋していますので、取り扱いのある化学物質によって適切な規定を遵守しましょう。

有機則

第二十条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設ける局所排気装置とする。

2 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度

二 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態

三 排風機の注油状態

四 ダクトの接続部における緩みの有無

五 電動機とファンを連結するベルトの作動状態

六 吸気及び排気の能力

七 前各号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

3 事業者は、前項ただし書の装置については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。

第二十一条 事業者は、前二条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。

一 検査年月日

二 検査方法

三 検査箇所

四 検査の結果

五 検査を実施した者の氏名

六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容

特化則

第三十条 事業者は、前条各号に掲げる装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 局所排気装置

イ フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみ、その他損傷の有無及びその程度

ロ ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態

ハ ダクトの接続部における緩みの有無

ニ 電動機とファンを連結するベルトの作動状態

ホ 吸気及び排気の能力

ヘ イからホまでに掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

(定期自主検査の記録)

第三十二条 事業者は、前二条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一 検査年月日

二 検査方法

三 検査箇所

四 検査の結果

五 検査を実施した者の氏名

六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容

また、労働基準監督署がおう会している局所排気装置の定期自主検査 の定期自主検査指針には、詳細に検査項目ごとの検査方法と判定基準も記載してあります。具体的にどのように検査するかを、チェックして行いましょう。

【引用】局所排気装置の定期自主検査 の定期自主検査指針
【引用】局所排気装置の定期自主検査 の定期自主検査指針

【引用】局所排気装置の定期自主検査 の定期自主検査指針

なお、局所排気装置のダクト内部等における検査を行うに当たっては、有害物質による中毒等を防止するため、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、粉じん障害防止規則および石綿障害防止規則の規定に基づき、必要な措置を講じます。

これらの規定が適用されない場合であっても、有害物質による中毒等のおそれがあるときは、同様の措置に準じた対応を行いましょう。

まとめ

局所排気装置は、有害物質の発散源で捕捉することにより、作業者のばく露を低減させる設備です。それによって、化学物質による健康障害を防ぐうえで、作業環境管理の中心的な役割を担っていることが分かりました。

しかし、その効果を十分に発揮させるためには、適切な換気設備の選択や、定期的な点検・維持管理が欠かせません。

局所排気装置は「設置すること」が目的ではなく、「適切に機能させ続けること」が本質です。法令を遵守しながら、確実な管理を行うことで、リスク低減につなげていきましょう。

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執筆者 スマートSDSメディア編集部
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